韓国若手マスコミ招聘事業

基金では、「東アジア青少年大交流計画(JENESYS)」事業の一環として、2009年度より韓国の若手のマスコミ関係者(記者、プロデューサー、カメラマン等)を招聘し、日本各地の伝統文化や地場産業等を取材して頂いています。
[@pause]今年は、7月から9月にかけてソウル及び地方の新聞社、放送局の関係者20名が3団に分かれて訪日し、7月16、17日に仙台市で開かれた「東北六魂祭」をはじめ、東北地方各地の夏祭り、東京での「日韓交流おまつり 2011 in Tokyo」、そして東日本大震災の被災地とその復興に向けた取り組み等について取材しました。 

第1団

7月15日から18日まで東京と仙台を訪問した第1団(5名)は、同月16、17日に仙台市で開催された「東北六魂祭」を中心に取材を行いました。この行事は、東日本大震災により大きな被害を受けた東北地方の六つの自治体が、復興を願い、また各地方の夏祭りをPRするために企画されたもので、東北六県を代表する夏祭りが一同に会しました。招聘団の一行は、開催日両日で36万人を超す観衆で賑わった会場で、各県から集まったお祭り出演者や主催団体の関係者にインタビューし、「六魂祭」への参加にかける意気込みや、それぞれのお祭りの由来、各県の被災状況等について取材しました。
  

「六魂祭」出演者への取材
  
「六魂祭」取材の前には、実際に被災地(宮城県名取市閖上地区)を訪れ、宮城県庁担当者の説明を受けつつ取材を行いました。


震災被災地(名取市閖上地区)取材の様子
  

第2団

第2団(8名)は、8月3日から7日まで、「盛岡さんさ踊り」、「秋田竿灯祭り」、「青森ねぶた」を取材しました。
それぞれのお祭りは、震災からの復興の過程での開催ということで、例年に増して熱の入った雰囲気だったようです。 招聘団の一行は、お祭りの出演者、観覧者等へのインタビューを通じて、出演者が学生、会社員、教員、自衛隊員、主婦等、あらゆる職業の人びとから構成されていることや、家族連れや友人同士などの人びとが街中をびっしりと埋めつくして、声援を送りながら観覧している様子に深い関心を示していました。
青森の「ねぶた」取材の際には、一行も実際にねぶたの踊り手である「ハネト」に扮してお祭りに参加、日本の伝統文化と人びとの情熱を肌で体験した大変印象深い取材となったようです。
  

ねぶたで「ハネト」に扮した記者

第2団も、お祭りの取材に先立って岩手県宮古市を訪問、宮古市役所で同市内の震災被害の詳細についてブリーフィングを受けた後、被災者である現地在住の在日韓国人の方や復旧作業にあたる関係者の方々へのインタビューを行いました。

震災被災地(宮古市鍬ヶ崎‎地区)の取材の様子
 

第3団

第3団(7名)は、9月28日から10月3日まで滞在し、10月1、2日の両日、東京で開かれた「日韓交流おまつり 2011 in Tokyo」を中心に取材を行いました。

一行はまず宮城県を訪問し、震災の被害を受けた松島地区の観光協会、寺社、仙台空港等を取材、関係者に被害の状況や復興の状況等についてインタビューしました。特に仙台空港周辺の被災する様子は、韓国でも広く報道されていたため一行の関心が高く、空港の管理会社やアクセス鉄道の責任者の説明を熱心に聞いていました。

仙台空港取材の様子

東京では早稲田大学を訪問し、韓国経済がご専門の政治経済学術院深川由起子教授と懇談、日韓のFTAや、韓米FTAが日韓経済関係に及ぼす影響、両国の産業構造の違い等について活発な質疑応答を行いました。

深川教授との懇談

10月1日、2日には六本木アリーナで開催された「日韓交流おまつり2011 in Tokyo」を取材、会場を訪れてキムチ作りイベントに参加していた日本人観覧客や、各種イベント参加者へのインタビューを行いました。
    

キムチ作り取材の様子  
  
また、「日韓交流おまつり 2011 in Tokyo」実行委員会委員である俳優の黒田福美氏、阿久澤事務局長へのインタビューも行い、今回の「おまつり」の意義や、アピールしたい点等について質問しました。これに対して両氏からは、「応援してくれている韓国とのつながりや、被災地は頑張っているんだということをアピールしたい」等の説明がありました。

コーラスを披露した仙台市立八軒中学校の生徒を取材する様子 

各団共に、取材開始の前、一行の多くから「大震災により多数の犠牲者、甚大な被害が出ている中で、どうして『お祭り』を実施することが可能なのか」という質問が寄せられました。しかし、実際に各地でお祭りの現場を取材し、関係者へのインタビューを重ねる中で、「このような時だからこそ、お祭りを通じて人々を勇気づけたい、東北が、日本が元気であることを世界に訴えたい」という被災者、そして関係する多くの人々の思いが伝わったようです。

各団の帰国後には、招聘団の一行が所属するマスコミ各社で取材の内容が報道され、東北各地の「お祭り」の様子と、震災被災地において復興に取り組む姿が韓国内で広く報道されました。

<日程>

第1団 第2団 第3団
7月15日(金)
羽田空港着、仙台市へ移動
16日(土)
宮城県庁経済商工観光部訪問、震災被災地(名取市閖上地区取材)取材、「東北六魂祭」取材
17日(日)
「東北六魂祭」取材
18日(月)
羽田空港より出国
8月3日(水)
羽田空港着
4日(木)
盛岡市へ移動、震災被災地(岩手県宮古市鍬ヶ崎)取材、「盛岡さんさ踊り」取材
5日(金)
秋田市へ移動、「秋田竿灯祭り」取材
6日(土)
青森市へ移動、「青森ねぶた」取材
7日(日)
羽田空港より出国
9月28日(水)
羽田空港着、仙台市へ移動
29日(木)
震災被災地(宮城県松島地区、名取市閖上地区、仙台空港等)
30日(金)
早稲田大学深川教授との懇談、秋葉原取材、日韓交流おまつりレセプション取材
10月1日(土)
「日韓交流おまつり 2011 in Tokyo」取材
10月2日(日)
「日韓交流おまつり 2011 in Tokyo」取材
10月3日(月)
羽田空港より出国