【JENESYS2.0】日本教員訪韓研修団(2013/11/12~11/21)

JENESYS2.0の一環として、若手教員26名が訪韓し、11月12日から21日までの9泊10日の日程で研修を行いました(団長:中川君隆 佐賀県江北町立江北中学校 教諭)。一行は、滞在中、教育現場の視察やホームステイ、文化遺産見学を通して、韓国の文化・社会に対する理解を深めました。
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※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
11月12日(火)

金浦国際空港より入国
13日(水)
上炭小学校、中山高等学校訪問
14日(木)
国立国際教育院訪問、宗廟見学、梧琴中学校訪問
15日(金)
景福宮見学、木浦へ移動、ホームステイ対面式
16日(土)
終日ホームステイ
17日(日)
再集合、木浦共生園訪問、文化体験(陶磁器作り、草木染体験)
18日(月)
木浦市内見学(儒達山、旧日本領事館)、木浦大学校訪問
19日(火)
慶州へ移動、慶州市内見学(国立慶州博物館、仏国寺)
20日(水)
釜山へ移動、釜山市内見学(忠烈祠、福泉博物館など)、報告会
21日(木)
金海国際空港より出国

2日目午前、教育現場視察として、高陽市の上炭小学校を訪問しました。小学生たちからの歓迎の歌とダンスを鑑賞した後、校長先生より、京畿道が「革新学校」に指定している同校の独自の特色教育について説明を受け、団員たちは同小学校のさまざまな取組みを理解することができました。また、現場の教師同士の交流会が行われ、3グループに分かれ、日韓のさまざまな教育の問題や取り組みにつき自由に話し合いました。

午後は、近隣の中山高等学校を訪問しました。学校が力を入れている美術部をはじめとする、さまざまなクラブ活動の様子を見学した後、日韓の教員で懇談会を行い、部活動の取り組みや進路指導などを中心に、活発な意見交換が行われました。

3日目午後、ソウル市内の梧琴中学校を訪問し、担当教員の案内のもと、さまざまな教科の授業の様子を見学しました。電子黒板や、教科ごとに教室を使用する「教科教室制」の取組みに関心が集まり、また読書教育や進路指導の教材などを実際に手に取る機会もありました。質疑応答の時間には、団員たちから、学校側の取組みについてさまざまな質問が挙がりました。

4日目、木浦に移動した一行は、木浦大学校でホスト家族と対面し、2泊3日のホームステイを行いました。
ホームステイを終えた、団員たちからは、「人の想いのあたたかさに触れることができた。ホームステイ先では、自分の家族を大事にする姿勢に感動した。韓国を身近な国として感じるようになった」、「お互いの言葉が通じず苦労したが、人を思いやる気持ちが大事であることを感じた」といった感想が述べられました。

6日目、ホームステイを終えて、日本と縁の深い福祉施設・木浦共生園を訪問しました。
日本統治時代に木浦共生園の創始者・尹致浩と結婚した日本人・田内千鶴子さんは、終戦後の混乱期も韓国に残り、夫が朝鮮戦争の動乱時に行方不明になった後も、あらゆる困難を乗り越え、生涯約3000人の孤児を育て、「韓国孤児の母」と慕われ、韓国政府から国民勲章を、木浦市からは「第1回市民賞」を受賞しています。一行は鄭愛羅園長に迎えられ、このような共生園の歴史に関する展示や、田内千鶴子さん(高知県出身)の生涯を紹介する映像を見て、感動していました。

7日目、木浦歴史探訪として、旧東洋拓殖株式会社木浦支店や、旧日本領事館など木浦市内に残る日本統治時代の建物を見学しました。

その後、木浦大学校に移動し、高錫珪総長による特別講義「韓日関係の昨日と今日」と題する講義を受けました。講義の中で総長自身が、木浦に残る日本統治時代の名残の日本家屋保存に尽力されていることや、木浦と日本との関わりについて、研修中に訪問した「木浦共生園」・「儒達山」・「旧日本領事館」等についても言及があり、歴史的意味などの理解につながりました。
総長からは、「日韓関係は今が一番重要な時期であり、日本と韓国、特に日本人が韓国にもっと関心を持ってほしい、これからの子どもたちの教育を担う団員たちに期待する」とのメッセージが伝えられました。

その後、3グループに分かれ、教育や日本語・日本文学専攻の木浦大学校学生と交流の時間を持ちました。団員たちは、韓国の大学生の話をきき、非常によく勉強している様子に関心していました。

8日目は、慶州に移動し、新羅時代の文化財を多く収蔵する国立慶州博物館や世界遺産に登録されている仏国寺を見学しました。また、9日目は、釜山に移動し、朝鮮時代の学校や役所の建物など、歴史的な建造物もたくさん残る東莱(トンネ)地区を訪問し、忠烈祠や福泉洞古墳群、伽耶時代の遺物を展示する福泉博物館を見学しました。

研修を終え、団員たちからは以下のような感想が述べられました。

・ いろいろな場所で現地の人と触れ合う中で、メディアでしか知らなかった韓国の本当の姿や人情に触れ、メディアの情報と違うことを知ることができた。
・ 研修前は正直不安だったが、実際に韓国人と触れ合うことで、自分の見方が変わった。
・ 韓国の歴史や文化に自分自身が余りに無知だったことを痛感した。今後はもっと学び、生徒たちに伝えていきたい。
・ 互いの国に対し関心を持ち続けることの大切さを知った。家族や生徒たちに伝えたい。