【JENESYS2.0】韓国高校生訪日研修団第3・4団(2014.11.6~11.12)

JENESYS2.0の一環として、韓国国立国際教育院で選抜・派遣された韓国高校生訪日研修団計100名が、去る11月6日から11月12日までの6泊7日の日程で研修を行いました(第3団団長:李淙龍(イ・ジョンヨン)京畿道教育庁国際交流協力チーム長、第4団団長 金學鎭(キム・ハクジン)蔚山女子商業高等学校校長)。[@pause]
一行は、「日本を感じる」というテーマの下、滞在中は都内視察、ホームステイや高校訪問(第3団:岡山県、第4団:奈良県)を通じた交流、日本の伝統文化体験などを通じて日本の魅力を体感しました。

※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
11月6日(木)
到着(成田空港)、東京タワー見学、オリエンテーション
11月7日(金)
講義、歓迎昼食会、都内学校訪問(3団:東京都立三鷹中等教育学校、4団:青山学院高等部)
11月8日(土)
地方へ移動(3団:岡山県、4団:奈良県)
3団:地方見学(岡山県瀬戸内市牛窓地区、牛窓オリーブ園)、4団:奈良県内見学(東大寺)、ホームステイ対面式
11月9日(日)
3団:ホームステイ対面式、4団:ホームステイ先より集合
11月10日(月)
3団:ホームステイ先より集合、学校訪問(岡山県立岡山城東高等学校)、4団:文化体験、学校訪問(奈良大学附属高等学校)
11月11日(火)
3団:岡山県庁訪問、岡山城見学、大阪へ移動、江崎グリコ株式会社訪問
4団:奈良県庁訪問、大阪へ移動、江崎グリコ株式会社訪問、大阪城見学
11月12日(水)
関西国際空港より帰国

 
 一行はまず、江戸東京博物館都市歴史研究室の市川寛明学芸員による特別講義「日本における庶民文化の伝統」を聞きました。江戸時代、葛飾北斎や歌川広重の浮世絵などの浮世絵を代表例とした庶民文化が庶民に広がり、その文化が日本の現代文化の底流をなしているというお話を伺いました。

 日程2日目には各団それぞれ都内で学校訪問を行いました。
 第3団は東京都立三鷹中等教育学校に訪問しました。到着後、中等2年生160名ほどの学生さんが一堂に会し、訪日団を歓迎してくれました。三鷹中等2年生の方からは、「一休さん」のとんち話の中から、3つのお話しの演劇上演がありました。「このはしわたるべからず」などのとんち話の上演を見ながら、日本の文化に触れるととともに、中等2年生の歓迎に感激していました。またそのお礼に、訪日団もみんなでアリランの合唱を披露しました。
 その後の部活動体験では、三鷹中等の学生さんとペアになり、団員それぞれが茶道、剣道、弓道に分かれ、部活動に入れてもらいました。茶道では同じ高校生からのおもてなしを受け、慣れない手つきでもお茶を美味しく頂くことが出来ました。その後のフリートーキングでも英語と日本語、また辞書などを使って韓国語で会話するなど、日本の友達が出来たことにとても喜んでいました。

第4団は青山学院高等部に訪問しました。はじめにキャンパスツアーを行いましたが、単に校内を見学するのではなく、ミッションが書かれた用紙と地図が配られ、そのミッションの場所に行き、証拠写真を撮ってくるという方式で行いました。その後、サイエンスプロジェクトと題し、日本の学生と韓国の学生がチームとなって「校舎の2階から生卵を落としても割れない方法」を一緒に考え、発表を行いました。発表は実際に中庭で実演する形式で進められ、とても盛り上がりました。合間の時間に行った茶道体験もとても印象的だったようです。

日程3日目から6日目にかけ、各団はそれぞれの訪問地においてホームステイのほか、史跡見学や企業訪問、文化体験を行いました。
第3団は、朝鮮政府が江戸幕府の招待により日本に派遣した朝鮮通信使が、江戸に行く途中で滞在した岡山県瀬戸内市の牛窓地区を訪問しました。
ここでまず朝鮮通信使の概要を、ビデオや展示物を見学しながら学び、その後は、朝鮮通信使を接待した本蓮寺を訪問しました。実際に牛窓を訪問し、街を歩きながら学ぶことで、朝鮮通信使や日韓間の歴史について肌で学ぶことが出来ました。                    

翌日の4日目はホームステイ対面式がありました。一行がお世話になったホストファミリーは、翌日訪問する岡山城東高校や近隣高校、岡山県内の国際交流協会の方々のお宅にお世話になりました。1泊2日という短い間でしたが、本当の家族のように過ごすことができ、あっという間に時間が過ぎてしまったそうです。

翌日の5日目の第3団はホームステイからそのまま、岡山県立岡山城東高等学校に集合し、1日学校訪問を行いました。書道ではまずは筆の持ち方や墨のすり方から学び、また岡山城東高校の生徒さんに漢字の書き方を教えてもらいながら、授業を受けました。このほか、音楽や、英語、国語などの授業を受け、日本の高校生活の一端に触れることが出来ました。最後のフリートークの時間では、連絡先の交換や写真撮影を行い、最後まで別れを惜しむ姿が見られました。

 
 一方、第4団では3日目に東大寺を見学しました。奈良公園内にはたくさんの鹿がいて学生もとても驚いている様子でした。ゆっくり歩きながら大仏や二月堂を見学しましたが、紅葉がはじまっておりとてもきれいな奈良の風景を一望することができました。また、おみくじに興味を持つ学生がたくさんおり、お互いに「吉」や「凶」など何が出たか見せ合いをしていました。

同日夕方にはホスト家族との対面式があり、1泊2日のホームステイが始まりました。各家庭でお好み焼きやたこ焼きを作って食べたり、文化遺産を見学するなどホストのみなさんと、とても楽しい時間を過ごしました。前日は緊張した様子であった団員たちですが、家族と別れるときは、みんな涙を流しながら、別れを惜しんでいました。

5日目、第4団は午前中に文化体験で民謡鑑賞と浴衣体験を行い、お昼からは奈良大学附属高等学校に訪問しました。
文化体験の民謡鑑賞では「ソーラン節」や「花笠音頭」など日本のポピュラーな民謡を師範の方に三味線に合わせて唄っていただき、鑑賞しました。また浴衣体験では浴衣を着せてもらうと、鮮やかな色合いがとても気に入ったようで、あちらこちらで写真撮影会が開かれていました。また今回、特別に居合道の型も見せていただくことができ、学生たちはその迫力に圧倒されていまいしたが、とてもいい経験になったようです。

奈良大学附属高等学校では、到着後、まず最初に訪問校の生徒会の学生と一緒に昼食を取りました。日韓ともに代表学生が挨拶をしましたが、日本の学生は英語、韓国の学生は日本語とお互いに外国語でスピーチしました。昼食後は、日本の高校生と一緒に体育と美術の授業を受けました。美術は日韓の学生がペアになってデッサンを、体育はバドミントンとフットサルをしました。初めは少しぎこちない様子もありましたが、すぐに打ち解けたようで、日本の学校の授業を一緒に楽しんでいました。また、校内見学の時間に行われた部活動見学では、週に1回程度しか部活動がない韓国の高校とは違い、活発に行われている姿がとても新鮮に映ったようです。

滞在6日目は、各団それぞれ県庁表敬訪問を行いました。
第3団は岡山県庁の方から、岡山県の概要や見どころについて説明をして頂きました。今回訪問することが出来なかった場所も紹介して頂き、次回こそ訪問したいという学生もいました。また議会棟の見学も合わせてさせて頂きました。議員席に座らせてもらいました。投票の仕方や、一般の方の参加可否についての質問が出ました。

第4団は奈良県庁の表敬訪問ならびに奈良県内の大学生との交流を行いました。まずはじめにグループごとに分かれ大学生の案内で奈良市内を眺め、その後、場所を奈良県立美術館に移して奈良県に関するブリーフィングを聞きました。奈良と韓国とのゆかりについてや観光地について詳しく説明をしていただき、とても興味を持っている様子でした。奈良県立美術館の見学では百済の王から倭王に献上されたといわれている「七支刀」を見ることができました。この鉄刀は韓国の教科書にも載っているようで、日本と韓国の歴史的な関わりを身近に感じることができたようです。

表敬訪問後は第3団・第4団ともに企業訪問を行いました。滞在6日目が11月11日のポッキーの日ということもあり江崎グリコに訪問しました。江崎グリコでは、はじめに記念館を見学し、創業者である江崎利一についてや道頓堀にあるネオンサイン、歴代のグリコのおまけについての説明を聞きました。歴代のグリコのおまけは時代とともに変遷していく様子がわかり、団員も見入るようにして見学をしていました。また、その後行われた質疑応答の時間にはポッキーのおいしさの秘密についてやマーケティングに関してなど、さまざまな質問が出ていました。この企業訪問でも日本を知るうえで役立ったようです。

今回の研修を通して、団員たちからは以下のような感想が聞かれました。今後は各団員がそれぞれの場所から今回の研修成果を発信していく予定です。
・歴史的な問題が多く訪問前は否定的な印象しかなかったが、とても親切で学ぶ部分が多い国だと知った。
・ホストファミリーが自分を娘のように接してくれて印象深かった。
・部活動もが盛んで、学生たちが部活も頑張っているのが印象的だった。
・日本の歴史と文化財について学ぶとともに、韓国との共通点と違いを感じることができた。
・教科書で学ぶことより実際に体験した方が100倍以上効果を発揮すると感じた。
・夢だった日本人の友達ができ、親しくなれたことがとても嬉しかった。
・日本に対して感じた良い印象を、周りの人たちに伝えたい。
・親切で礼儀正しく秩序を守る日本人の国民性を教えてあげたい。