【JENESYS2.0】岩手県高校生訪韓研修団(2014.10.19~10.25)

当基金が「JENESYS2.0」の一環として実施している高校生訪韓研修として、10月19日(日)から10月25日(土)までの6泊7日、岩手県の高校生ら50名による訪韓研修を行いました(団長:菊池郁聡岩手県立久慈東高等学校副校長)。[@pause]
団員は岩手県内の高等学校13校から選抜された高校生45名で構成され、韓国の高等学校への訪問やホームステイ、文化体験・視察などを通じ、韓国の文化・社会に対する理解を増進させ、日韓の相互理解と信頼関係を深めてきました(主催団体:公益財団法人 日韓文化交流基金、大韓民国教育部国立国際教育院)。
※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
10/19(日)
岩手県を出発、仙台空港より仁川国際空港に到着、オリエンテーション、歓迎夕食会
10/20(月)
韓国国立国際教育院訪問、特別講義「韓国と日本の文化比較」受講、漢陽大学訪問・キャンパスツアー(クイズミッション遂行)、クイズミッション発表会
10/21(火)
土坪高校訪問(京畿道九里市)、ホームステイ
10/22(水)
在韓国日本国大使館公報文化院訪問、雲峴宮・仁寺洞見学、韓紙工芸体験
10/23(木)
韓国料理体験学習、光化門・清渓川・明洞見学
10/24(金)
DMZツアー、グループ別討議・発表
10/25(土)
金浦国際空港より羽田国際空港に到着、東京駅から新幹線で岩手県に帰着

 

訪韓研修初日。団員はそれぞれ岩手県の自宅を早朝に出発し仙台空港から一路、仁川空港に向かいました。韓国に入国してからオリエンテーション会場へ行く途中、韓国ソウルの車という車が一行を歓迎してくれているかのような渋滞に巻き込まれ、会場に到着した時には既に日が暮れていました。オリエンテーションを受けた後の歓迎夕食会では、おかずのお皿がギッシリ敷き詰められた大きな板がそのままテーブルの上にドン!と置かれると、団員たちは目を丸くして感嘆の声が上がっていました。また、今回の研修には毎日テーマが設定され写真コンテストも行われました。初日のテーマは「韓国の第一印象」でした。

日程2日目「韓国の大学文化」がテーマです。この日は、まず韓国国立国際教育院を訪問しました。同院国際教育支援部部長のキムチャンウン氏が出席された歓迎会の後、韓国外国語大学のジョンサンミン教授より「友達への一歩~韓国人は辛くないです、料理は辛いけど。~」というタイトルの文化比較特別講義が行われました。ここでは、日本と韓国の文化や食べ物、生活習慣の類似点や相違点、日本語と韓国語の違いや似ているところなどを紹介しながらお互いの国や文化に関心を持つこと、知ること、理解することの大切さを学びました。講義の最後にジョンサンミン教授は、「今日を機に日韓の違いをみつける楽しさを発見し、これからは、是非、目線を変えてみていって欲しい。사람(サラム・人)は사랑(サラン・愛)で開くことができるのです。」と人と人とのつながりが重要であることを伝えてくださいました。

 
歓迎昼食会終了後は、漢陽大学に移動しキャンパスツアーが実施されました。キャンパスツアーは、5グループに分かれ、同大学に留学している日本人留学生が一人ずつグループを担当し大学構内に置かれているミッションをクリアしていくというクイズ形式で行われました。ここでは、漢陽大学の歴史や情報が盛り込まれたり、韓国人大学生に直接韓国語で質問したり、楽しみながら同大学を知り、自然に交流をすることができるものでした。その後、大学近くのフードコートで食べてみたい韓国料理を自分で注文して夕食をとり、大学のセミナー室に戻って各グループのミッション成果を発表し合いました。発表テーマは、「韓国人大学生に質問したこと、その質問に対する予想回答と実際の回答の違い」についてでした。あるグループでは、「韓国大学生の悩み」について「恋」や「ダイエット」という回答を予想していたのですが、実際には「就活」や「資格試験」という回答が多く、意外と真面目な回答に団員は驚いているようでした。

    
日程3日目のテーマは「みんなが一つに」。韓国京畿道九里市にある土坪(トピョン)高等学校を訪問しました。小雨の降る中、熱い歓迎の拍手に迎えられ、まずはパートナーとの対面式です。会場に入り指定された席に座ると、これから1泊2日一緒に過ごす韓国の高校生たちが笑顔で隣に座ってくれました。対面式では、韓国の高校生は歌と踊りで団員を歓迎し、団員からは岩手県についての発表が行われました。その後、4グループに分かれ、韓国の授業を体験。体育、音楽、美術、日本語。特別に構成された授業でしたが、韓国の高校生の積極さにひかれるように団員たちも授業に没頭している様子でした。

翌朝、パートナーと共に登校した団員たちは、短い時間を惜しむように写真を撮ったり、話し込んでいたり、とても仲良くなっている姿をみて、やはり言葉より実際に会って触れ合うこと、分かち合うことが大切であると感じました。土坪高等学校のイギョンエ教頭からも「今回の学校訪問、ホームステイを通して韓国に対する新しい認識を持たれたはずです。これを大切にして皆さんが未来のパートナーとなることを願っています。」というお言葉に、団員代表は「友人に国境は関係ない。韓国の魅力を日本のみんなに伝えたい。」と応えていました。

土坪高校のパートナーと別れた一行は、在韓国日本国大使館公報文化院を訪問した後、「韓国伝統文化」という日程4日目のテーマのもと、歴史的建造物の雲?宮の見学や国立民族博物館での韓紙工芸体験を行いました。さらに、韓国の伝統文化の色が濃く残る仁寺洞では、漢陽大学の担当日本人留学生が加わり、2日目同様グループ別にミッションを行いながら、五感で韓国の伝統文化を感じる貴重な機会となりました。
 

日程5日目は「韓国の味と趣」がテーマです。午前中は韓国料理作りを体験しました。「チムタク」という鶏肉のピリ辛醤油煮込みと「海鮮パジョン」に挑戦です。完成した料理は、そのまま昼食として食べることに。その美味しさもさることながら、「これで私も韓国料理が作れる!」、「家に帰ったら家族に作ってあげます!」と、みんな自信に溢れた笑顔で沢山食べていました。午後からはソウル特別市の中心部、光化門から清渓川、明洞を探索しながら、韓国について理解を深めるグループミッションを遂行しました。

   
日程6日目のテーマは「統一の道を歩む韓国」。朝から韓国非武装地帯DMZに向かいました。臨津閣からは臨津川にかかる「自由の橋」を見学した後、「都羅展望台」ではDMZについての説明を聞きいて展望台から非武装地帯を見渡しました。あまりにも静かで自然がたくさんある風景に韓国が休戦状態であることが不思議に感じたようです。また、1978年に発見されたという「第三トンネル」に歩いて入ることができました。ここでは、わずか35年前、実際に作られたトンネルを目の当たりにし、戦争というものを身近に感じたという団員もいました。

 
翌日は日本に帰国する日。この日の夕方からは、今回の研修を通して感じたことをグループで討議し発表する時間がもたれました。各グループ担当の日本人留学生も最後まで団員の力になってくれました。それぞれグループで発表のテーマをつぎのように設定しました。「韓国の大学について」、「見て感じた韓国人」、「韓国の食文化」、「韓国と日本の相違点」。各々が自由に感じたこと、思ったことを率直にまとめ、発表しました。

最後には、初日から行われていたフォトコンテストの優秀者が表彰され、これまでお世話になった日本人留学生のみなさんともお別れの挨拶をしました。

研修を終えて団員たちからは以下のような感想が述べられました。
・食事の作法など、日本との相違点や共通点を学ぶことができて良かった。
・学校では教わることのない日韓関係の現状や韓国の歴史、文化を知ることができ刺激を受けた。
・言葉の壁があるのでとても不安だったが、韓国の学生が知っている日本語とジェスチャーで一生懸命接してくれたことに感動した。
・韓国の日常生活だけでなく、韓国人の温かさや家族愛を知ることができた。
・勤勉さと親切さ、はっきりと意見を言う国民性、時に「お節介」と思える優しさが魅力的だった。
・ホームステイの経験が、人見知りで引っ込み思案の自分を成長させてくれたと思う。
・自分の韓国について知識の乏しさに驚いたが、同時にどんどん知識が増え、視野が広がっていくことにワクワクした。
・本当の韓国の姿を知らないのに偏見を持っていた自分に気がついた。しかし、この研修でその偏見を壊すことができたので良かったと思う。
・今回の研修を通して韓国について沢山知ることができ、さらに韓国が好きになった。
・国境を超えて友達ができたことは一生の宝物になった。
・それぞれの国民性があって、それを尊重したうえで相手を理解しようとする努力が必要だと感じた。
・会話の時に自分の英語力の無さを痛感し、もっと勉強しなければと思った。
・これから韓国とどのような関係を築いていけばよいのか、自分なりに考えていきたいと思った。
・独学で韓国の社会や政治について学ぼうと思った。

以上ように、今回の研修で韓国について、日本について、自分自身について、様々なことを感じ、考えた団員たち。「メディアを通じて韓国に悪いイメージを持っている人に、一度韓国を訪れ、韓国の魅力に触れてみてほしいと伝えたい!」、「韓国の事を悪く言う人がいたら、今回の経験で知った韓国の良さや魅力、文化を伝え、韓国に対する理解を深めてもらえるよう努めたい!」と語っていました。