【キズナ】在外公館派遣韓国青年訪日研修団(第1・2団、2012.7.30~8.8)

7月30日から8月8日までの9泊10日の日程で韓国青年訪日研修団(第1団および第2団)計58名が来日し、研修を行いました。
(第1団団長:林良燮(イム・ヤンソプ)ソウル寿命高等学校日本語科教諭、第2団団長:朴哲弘(パク・チョルホン)東亜大学校芸術大学音楽学部教授)
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本研修は、外務省の「アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流(キズナ強化プロジェクト)」の一環として行われ、日程中3泊4日は被災地の訪問を行い、東日本大震災からの復興の様子や現況を視察しました。

被災地訪問に先立ち、明治大学危機管理研究センターの中林啓修研究推進員による「東日本大震災の被災概況と復興について」と題する講義を受けました。講義を通して、東日本大震災での津波等による被害の概要、復興に向かっている現在の様子、また訪問先の茨城県についてデータや写真資料を通して学びました。
その後一行は、茨城県に移動し、まず、茨城県庁で、県内の被災状況・震災時の対応状況、現在の復興状況に関する説明を受けました。

3日目は、北茨城市消防長より市内の被災状況について、映像資料を交えて具体的に説明を受けました。
その後、北茨城市大津漁港にて、漁協関係者より震災当日の港の様子を聞きました。また、東京大学中川聰特任教授からは、原発事故後の風評を一掃するための全魚介類の放射能を測定する取り組みについて、実際に放射能測定装置も見せていただきながら説明を受け、団員たちは熱心に耳を傾けていました。
団員たちからは、「放射能に関する消費者の不安を解消するため、現地の人たちが努力していることを知った。放射能被害に対して誤解している韓国の人や世界中の人たちに知ってほしい」といった感想がありました。


放射能測定の取り組みについて説明を受ける

午後は、北茨城市内の老人ホームを訪れ、震災当日の様子についての話をうかがったり、入居者の方たちと、一緒に歌や体操をしながら、世代を超えた交流を行いました。交流を終えた団員たちからは、「入居者の人々を喜ばせることができて、訪問してよかった」、「入居者のおばあさんと話をしながら、日本の人たちの温かさを知った。これまでの日本人に対する思いが変わった」との声がありました。

4日目午前は、アクアワールド大洗水族館を見学しました。震災時の被害状況と現在までの復興への道のりについて、午後は、ひたちなか海浜鉄道を訪れ、実際に列車に乗車し、震災時の状況と、復興の取り組みについて学びました。
団員たちからは、「被災地を実際に訪れ、復興に向け努力している人々の様子に感動した」、「被災地に対して漠然と抱いていた不安や誤解が解けた」、「地震や災害への備えがなされている姿を見た。韓国もその姿勢を学ばないといけない」といった感想がありました。


震災時の被害状況について説明を受ける(アクアワールド大洗水族館)

5日目は、東京に移動し、外務省を訪問し、中野譲外務大臣政務官を表敬訪問し、訪日学生代表が被災地訪問の報告を行いました。
6日目は、午前中は春花園盆栽美術館を訪れ、茶道体験をしました。抹茶を味わった後、数人が代表して、実際にお茶を点てるお点前を体験しました。また、同館の小林國雄氏より盆栽に関するレクチャーを受け、館内の盆栽を見学しました。


初めて体験する茶道のお点前

その後、第1団は神奈川県相模原市、第2団は千葉県船橋市(ホームステイは千葉市と合同で受入)へ移動し、2泊3日の日程で、ホームステイと高校訪問を行いました。
日本の家庭で過ごした2泊3日間について団員からは、
「同年代の高校生から日本語を習うことができて、面白かった」
「ホストファミリーが大変よくしてくれた。お祭りや花火など、日本の夏を味わえた」
といった感想が述べられました。


日韓の高校生でK-POPを歌う(1団対面式)

高校訪問では、第1団が神奈川県立神奈川総合産業高等学校、第2団が千葉県船橋市立船橋高等学校を訪問しました。
第1団が訪問した神奈川県立神奈川総合産業高等学校では、ホストファミリーや近隣の高校の学生も参加し、日韓高校生交流会として、日韓の高校生がパフォーマンスを披露し合い、交流が行われました。
第2団が訪問した千葉県船橋市立船橋高等学校では、歓迎セレモニーに続き、在校生有志とのかるた大会が行われたほか、剣道、弓道、華道の部活動体験を通して交流が行われました。


一枚でも多く取ろうと真剣に取り組む(2団市立船橋高)

9日目には、意見交換会を行い、今回の研修で学んだことや、韓国に帰国後周囲に伝えていきたいことなどについて、団員同士で共有する時間を持ちました。

研修に参加した団員からは、
「ホームステイや高校訪問で、日本人の友だちができた」
「人と人とがつながることの大切さを知った。まだ高校生ではあるけれど、今後もキズナを保ち続けたい」
「被災地を実際に訪問したことで、来日前テレビなどで得ていた情報と異なり、復興した現在の状況を知ることができた」
「周囲の人に今回の体験を話したい。ブログやSNSを通して、韓国で発信していきたい」
といった感想の発表がありました。

<日程>
7月30日(月)
成田国際空港着、訪日研修オリエンテーション
31日(火)
震災に関する講義、歓迎昼食会、茨城県へ移動、茨城県庁訪問
8月1日(水)
被災現場視察(北茨城市大津港)、ボランティア活動(老人ホーム慰問、天心焼チャリティー作品作り)
2日(木)
被災現場視察(アクアワールド大洗水族館、ひたちなか海浜鉄道)
3日(金)
東京へ移動、外務省表敬訪問
4日(土)
午前:日本文化体験(茶道・盆栽)、午後:各団ホームステイ先へ移動、ホームステイ対面式(第1団:神奈川県相模原市、第2団:千葉県千葉市・船橋市)
5日(日)
ホームステイ
6日(月)
第1団:神奈川県立神奈川総合産業高等学校訪問、JAXA相模原キャンパス見学
第2団:千葉県船橋市立船橋高等学校訪問、ソニーエクスプローラーサイエンス見学
7日(火)
鎌倉見学(高徳院・鶴岡八幡宮)、鎌倉彫体験、意見交換会
8日(水)
成田国際空港より出国