【キズナ】宮城県中学生訪韓研修団(2012.9.9~9.15)

9月9日から9月15日までの6泊7日の日程で宮城県中学生訪韓研修団が韓国にて研修を行いました。

本研修は、外務省の「アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流(キズナ強化プロジェクト)」の一環として行われました。同世代の交流を通じた相互理解をはかると同時に、東日本大震災の被災体験や現在の復興の状況を韓国内で発信することを目的とするもので、宮城県内の中学生49名が参加しました。[@pause]
東日本大震災に関する情報発信に加え、本研修では韓国の文化、歴史などを学び、同世代の韓国人との交流を通して、韓国に関する理解も深めました。

研修2日目、水原にあるキムチ工場でキムチ作り体験を行いました。キムチに入れる薬味や具材、キムチの効果などに関してお話しを聞いた後、白菜に薬味をすり込み、手作りのキムチを完成させました。手作りのキムチは研修後、自分の家族へのお土産となるため、団員も真剣に作業を進めていました。

【キムチ作り体験】作業に集中する団員達

キムチ作りの後は扶余、公州に移動しました。扶蘇山城や宮南池の見学、3日目の国立公州博物館、武寧王陵の見学を通して、百済の歴史や、日本と百済の交流について学びました。

4日目は在大韓民国日本国大使館公報文化院を訪問しました。最初に道上広報文化院長より中国、韓国から見た日本、という内容で団員に向けてお話がありました。お話では、日中交流を行った高校生からの感想を引用し、積極的になることの必要性、学力向上の大切さの他、韓国がビジネス面、生活面でも国際化が進んでいることを挙げ、今回の研修では同世代の子と交流し、刺激を受ける良い機会になることだろう、といったことが語られました。団員代表の挨拶では、同世代の子との交流を楽しみにしていること、東日本大震災時の支援への感謝を忘れず研修に臨みたいことが伝えられました。その後の質問時間では、団員から外交官になるための方法、外国語を覚えるコツは何か、韓国で日本語が話せる人が多いのはなぜか、といった質問が出ました。

【広報文化院訪問】道上院長の話を聞く団員達

広報文化院訪問の後は、サムルノリ体験を行いました。団員達は、初めて握るチャンゴ用のバチと、慣れないリズムに最初は戸惑っていましたが、1時間も過ぎた頃には全員で息を合わせた演奏ができるまでになっていました。

【サムルノリ体験】一生懸命リズムを習得しようとする団員達

5日目には本研修のメインイベントである学校訪問を行いました。訪問した学校はソウルにある登元中学校です。最初は緊張していた団員も、拍手と笑顔で迎えられると、笑顔を見せていました。学校訪問では、韓国の学生との交流の他に、日本側より東日本大震災に関する発表の時間が設けられました。団員はこの発表のために、研修前から準備をしており、研修中も、全日程が終わった後、より良いものを目指して準備を進めてきました。発表では、団員達が作ったプレゼンテーション資料を使い、東日本大震災時の津波や町の被害の様子、団員自身の被災体験と、その後のボランティア活動の様子を発表し、最後に韓国への感謝の言葉を述べました。その後、全員で「花は咲く」を合唱し、45分の発表を終えました。
団員の発表に対し、韓国側学生は終始真剣に発表を聞いており、韓国側学生からは、「東日本大震災の被害があんなにもひどいと思わなかった。体験した子から直接聞くことで、実感がわいた。最後の合唱が一番感動し、自分も何か助けになりたいと思った。」「一つの地球に住んでいる者として、日本だけ被害にあったことが残念だし、悲しいと思った。」といった感想が述べられました。また、日本側団員の多くが「震災で傷ついた私たちの心が、力を合わせ、元気を取り戻してきている、強く生きているということが韓国の中学生に伝わったと思う。」「私たちの気持ちのこもった歌を届けられたと思う。韓国の人に震災の状況を伝え、家族や周りの人との関わりの大切さ、つながりを伝えることができた。」というように感じていました。

その後、体育、美術、音楽の授業に分かれ、それぞれ韓国側学生に交じって授業体験を行ったり、韓国側学生と一緒の昼食後、1対1のペアになって、自分の好きな言葉を教え合う、というリクリエーションなどを行ったりしました。

学校訪問終了後、団員からは「韓国側学生が積極的に話しかけてくれ驚いた。以前自分の学校に来た留学生にも積極的に話かければ良かったと後悔した。韓国人の積極さ、グローバル社会に向かう姿勢は見習わなければと思った。」「日韓の良さを見つけられた。韓国人の良さは積極さであり、パートナーからは日本人は人に対し親切にできることだ、と言われ、誇りに思った。日本の文化の良さを伝えられて良かった。」「発表時、韓国側学生から息を飲む声が聞こえた。凄く真剣に聞いてくれていたので嬉しかった。」といった感想が出ていました。

【被災地発表】団員の発表に真剣に聞き入る韓国人学生


【授業体験】体育の体験授業では日韓対抗戦を行った


【学校訪問】好きな言葉を教え合う団員と韓国人学生

6日目は烏頭山統一展望台に行きました。展望台に行く途中では、車中、韓国人ガイドから朝鮮戦争についてや、南北の分断が引き起こした現実について話がありました。展望台に到着後、目の前に見える北朝鮮に関して説明を受けた後、展望台に上がり韓国、北朝鮮を眺めました。団員からは「一本の線で南北の状況が全然違うことに驚いた。展望台から見た南側は発展しているが、北はそうではなかった。南北の統一を願うばかりだ」と言った意見が述べられました。
その他、この日は韓服体験とテコンドー体験に分かれて文化体験を行いました。テコンドーでは、前蹴り、回し蹴りなどの型を習った後、組手練習を行いました。団員は大きな声で気合を入れながら、テコンドーの練習に集中して取り組んでいました。

研修後に提出された感想文には、
「研修を通じ、日本と韓国で国は違っていても、そこに住む人たちは同じ人間であることを実感した。だから、領土問題で争っている今の状況を不思議に思った。」
「学校訪問でのプレゼンテーションを通し、自分に伝えたいという思いがあれば、たとえ言葉が通じない相手でも思いを伝えられることを実感した。」
「研修前は韓国に対してあまり良い印象を持っていなかった。韓国の人と触れ合う度に感じたのはその人たちの温かさだった。物事を一面からしか見ていなかったことに気づかされた。さまざまな情報に惑わされず自分のこの目で世界をもっと見たい。」
「このような機会での交流が重要。想像以上に友好的な韓国の人たちに感謝したい。友好のために自分ができることは、これからも韓国をより知っていくこと、中学校で知り合ったパートナーとの交流を続けていくこと。小さなつながりがもっと増えて欲しいと願う。」
といった団員の思いが述べられていました。

<日程>
9月9日(日)
仙台空港出発、仁川国際空港到着
10日(月)
キムチ作り体験、扶蘇山城、宮南池、陵山里古墳群
11日(火)
国立公州博物館、武寧王陵、韓国民俗村、水原華城
12日(水)
在大韓民国日本国大使館公報文化院、サムルノリ体験、景福宮、国立民俗博物館
13日(木)
登元中学校訪問、ショッピングセンター視察
14日(金)
文化体験(韓服、礼儀作法体験/テコンドー)、烏頭山統一展望台、NANTA鑑賞
15日(土)
仁川国際空港出発、仙台空港到着