【キズナ】韓国大学生訪日研修団(第3・4団、2012.10.29~11.7)

10月29日から11月7日までの9泊10日の日程で韓国大学生訪日研修団(第3団および第4団)計53名が来日し、研修を行いました。
(第3団団長:李杰宰(イ・ゴルジェ)建陽大学校観光学科教授、第4団団長:洪性秀(ホン・ソンス)国立国際教育院国際交流部部長)

本研修は、外務省の「アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流(キズナ強化プロジェクト)」の一環として行われ、日程2日目に東日本大震災の被災概況と復興に関する講義を受けた後、3泊4日の日程で岩手県を訪問し、東日本大震災からの復興の様子や現況を視察したり、地元の人々と交流をしたりしました。[@pause]

3日目、岩手県立大学を訪問し、震災時の大学の対策に関する講義や、学生ボランティアによる活動報告を受けた他、大学の学生との交流やディスカッションを行いました。ディスカッションではグループに分かれ、学生からボランティア体験を聞いたり、翌日のボランティア活動に活かそうと、ボランティア活動の際の心構えを聞いたりしていました。また、あるグループでは、被災地での体験を自分の専攻に合わせて発信したい、と個々の専攻に合った発信方法を考える等、各グループで活発な意見交換が行われました。


学生ボランティア活動について話を聞いた


情報発信方法について意見をまとめる団員

4日目の午前には宮古市にある赤前保育園を訪問し、園児と交流しました。まず始めに、小関園長から震災が園児に与えた影響や、親を亡くしたり、心が傷ついたりした園児がいるという話がなされると、団員の中には涙を流して聞いている者もいました。更に園長から、子供を元気づけてくれるプロジェクトがあれば嬉しく、今日は子供と一緒に元気よく遊んで力を与えて欲しい、という話があると、団員一同気合を入れ直しました。その後、園児から詩の暗唱と、歌と踊りの披露があると、団員からも歌のプレゼントとして、3団は韓国語で「キラキラ星」を、4団は日本語で「幸せなら手をたたこう」を歌いました。その後、園児と一緒に今年11月から来年10月まで使えるカレンダーを作りました。最初は人見知りをしていたり、絵を全く書こうとしていなかった園児も、団員が優しく話かけたり笑いかけたりすると、団員と一緒にカレンダー全体に好きなように絵を描いていました。


園児と一緒に体全体を使って歌を歌った


楽しく作業に取り組む園児と団員

午後には浄土ヶ浜レストハウスにてレストハウス職員から地震当日の海の様子や、15m程度の津波が来たこと、その後の営業再開までの道のりなどの話を聞きました。話を聞いて、団員からは復旧に係る費用や補助に関して、復旧までの時間やボランティアの人数に関する質問が出ていました。
夜には地元の人との交流会が設けられ、<盛岡さんさ好み>の方々や前日に訪問した岩手県立大学の学生も来て会は大いに盛り上がりました。盛岡さんさ好みによるさんさ踊りの披露では、踊り方のレクチャーもあり、団員も岩手県立大学生も踊りの輪に入って一緒に踊りました。


さんさ踊りの振り付けを覚える団員

5日目は、第3団は京都、第4団は北海道へ移動し、第3団は着物の着付け体験を行いました。着物で上品に歩くのは難しいと言う団員もいましたが、おのおの日本の伝統衣装を味わっていました。第4団はキャンドルと、ステンドグラスのキャンドルホルダーを制作しました。団員は色の組み合わせに迷いながら、それぞれの個性的なキャンドルホルダーを作りあげていました。

6日目からの2泊は、第3団は和歌山県、第4団は北海道札幌市でホームステイと大学訪問を行いました。
日本の家庭で過ごした2泊3日間について団員からは、
「日本のお父さん、お母さんができた気持ち。自分の学校の話や、ホストの韓国旅行の話をしたり、たくさん話した。お母さんが結婚する時に着た着物も着せてもらい、温かい時間を過ごした。」
「日本人の親切さや真心を感じ、日本人に対する偏見がなくなった。」
といった感想の他、今後も連絡を取り続けたい、という団員も多くいました。

地方での大学訪問では、第3団が和歌山大学、第4団が北海道大学を訪問しました。
両団ともにそれぞれの大学で日本側学生とディスカッションを行いました。互いの国のイメージや差異点、それぞれの将来の夢などを熱心に語り合い、時間いっぱい日本側学生との交流を楽しみました。


話に熱が入る団員と日本側学生(和歌山大学)

その後、両団とも関西に移動し、京都での街並み散策と、和太鼓体験を行いました。
京都の散策では祇園の街並みや八坂神社をボランティアガイドの方に案内してもらい、日本らしい雰囲気が残る街並みを歩きながら、文化への理解を深めました。
その後の全体報告会では、今回の研修で学んだことや、帰国後の発信方法について全体で共有する時間を持ちました。
団員達からは、
「復旧ではなく、復興に向かう姿に感動した。保育園での子供の明るい姿に学ぶ点も多かった。」
「被災地で復興状況を見ることが被災地の理解につながった。日本は自然災害への備えに関する研究が進んでいるので、韓国をはじめとして海外に広めて欲しい。」
「日本にいる日本人の友達にも岩手県に行くよう言うつもり。韓国で誤解をしている人、日本で誤解をしている人に今回の研修での体験を話そうと思う。」
「日本と韓国では文化が違うが、社会、福祉、礼儀に関しては韓国が学ぶところがあると思う。」
「大学での交流やホームステイで実際に日本人と話をすることで、日本を理解することができた。本をたくさん読むより、実際に体験することが大事だと思った。」
という発言がありました。

<日程>
10月29日(月)
成田国際空港着、訪日研修オリエンテーション
30日(火)
講義、歓迎昼食会、岩手県へ移動
31日(水)
岩手県立大学(滝沢キャンパス)訪問
11月1日(木)
赤前保育園、浄土ヶ浜レストハウス訪問、交流会
2日(金)
地方へ移動(第3団:京都、第4団:北海道札幌市)
第3団:着物着付け体験、第4団:宮沢賢治記念館見学
3日(土)
第4団:キャンドルとキャンドルホルダー制作体験
ホームステイ対面式(第3団:和歌山県、第4団北海道札幌市)
4日(日)
ホームステイ
5日(月)
学校訪問(第3団:和歌山大学、第4団:北海道大学)
大阪へ移動
6日(火)
京都市内散策、和太鼓体験、全体報告会
7日(水)
関西国際空港より出国