【キズナ】韓国青年訪日研修団(第1~3団、2013.1.14~1.24)

1月14日から1月24日までの10泊11日の日程で、韓国青年訪日研修団(第1~3団)として、中学生から大学生までの団員を含む計103名が来日し、研修を行いました。
(第1団団長:安秉杰(アン・ビョンゴル) 南ソウル大学校日本語科教授、第2団団長:李震鎬(イ・ジンホ) 東西大学校デザイン学部教授、第3団団長:金恵敬(キム・ヘギョン) 富平女子高等学校日本語教師)
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本研修は、外務省の「アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流(キズナ強化プロジェクト)」の一環として行われ、日程中6泊7日は被災地(岩手県)を訪問し、東日本大震災からの復興の様子や現況を視察したり、ファームステイを行いました。

2日目は被災地訪問に先立ち、東日本大震災の被災状況と復興状況についての講義を受け、その後岩手県へ移動しました。
3日目は、まず震災復旧活動講話として一関消防本部の方から震災当日の消防本部指令センター内の様子や、沿岸被災地へ応援にかけつけるためにどのように情報収集をしたのか、実際に行った救助活動などについてお話を伺い、団員も熱心に耳を傾けていました。また午後はこれから訪問する被災地の方々に向けて心を込めた応援メッセージを作成しました。


消防本部の方からの講義


折り紙やイラストで飾りもつけながら、復興の願いを込めてメッセージを作成

4日目は被災地企業視察として岩手県大船渡市にある株式会社「さいとう製菓」の方から、震災当日の事務所内の様子や大船渡市の津波の被害について、ご本人自ら撮影した動画を見せて頂きながらお話を伺いました。また被災した工場の再生過程などのお話しのほか、同社製品の「かもめの玉子」を避難所で無料でお配りした話を伺い、団員らは「分かち合い」の精神に深く感銘を受けていました。


津波被害を受けた「さいとう製菓」の建物を視察

午後は陸前高田市に移動し、ボランティアガイドの案内を聞きながら、津波に流された市の被災状況を視察しました。団員らは津波の被害状況を目の当たりにし、言葉を失いつつも津波の恐ろしさを肌身で感じていました。


津波被害を受けた陸前高田市の旧市役所庁舎を視察


ボランティアガイドの方から案内を聞きながら、津波被害の大きさについて思いをめぐらす

5日目は釜石市を訪問しました。ここでもボランティアガイドの案内により視察をしました。案内の中で沿岸部の小中学校が津波で全壊にあいながらも、日頃の避難訓練と当日の迅速な判断と行動により先生をはじめ児童全員が無事だった話や、逆に避難所と指定されていた防災センターが津波の被害にあい犠牲者が出てしまった話などを伺い、涙を流しながら聞く団員もいました。その後、三陸鉄道小本駅から宮古駅まで震災学習列車に乗車し、鉄道会社社員の話を聞きながら、車窓から被災の状況を視察しました。


震災当日、津波が押し寄せてきた防災センターで話を聞く

6日目は、小グループに分かれ被災地訪問で感じたことや、帰国後今回の体験をどう情報発信するかなどについて話し合いを行い、午後は一般の方も招き、帰国後アクション発表会を行いました。各団からは、フェースブックなどのSNSで情報発信、学校の授業の中でPPTを用いながら友人に伝える、三陸の美しさや復興へむけた力をテーマに動画を作成しインターネットで広めるなどのプランが発表されました。


被災地日程中に感じたことを「岩手からの手紙」と題し、発表する団員

この帰国後アクションについての発表が終わったあと、2泊3日のファームステイを行いました。集落ごとに集まり餅つき大会をしたり、着物着付けなど、日本文化を体験しつつ、ホストファミリーの皆さんと楽しいひと時を過ごしました。


餅つきに挑戦

2泊3日のファームステイを終え団員からは「ホストファミリーが韓国のドラマや歌手、韓国語について思っていた以上に知っていて驚いた」「2泊3日あっという間に過ぎてしまった。お別れするのが嫌になるほど仲良くなれた」「本当の子供のように接してくれてありがたかった」という声がありました。

東京に戻った8日目は外務省を訪問し、団員から被災地訪問を通じて感じたことを報告しました。
9日目、1団は横浜国立大学、2団は上智大学、3団は東京都立三鷹中等教育学校・三鷹高校を訪問しました。

1団が訪問した横浜国立大学では、同大学の学生有志が加わり小グループでの学生懇談会が行われました。「今後の日韓交流についてどのようにあるべきか」、「日韓の文化的相違点」について話し合うグループのほか、大学生のライフスタイルや若者の恋愛観の違いについて話し合うグループもあり、両国の学生たちによる自由な意見交換が行われました。


小グループで話し合われた内容について発表する(横浜国立大学)

2団では、上智大生の企画・進行による大学紹介やキャンパスツアー、グループディスカッションが行われました。ディスカッションでは、東日本大震災と復興に関するテーマを、5グループで、「国際支援」、「政治・経済」、「メディア」、「子供」、「福祉・心理」について、「理想の復興状態」「私たちに何ができるか」という視点で日韓の学生同士が話し合い、最後に各グループの意見を模造紙にまとめ、全員の前で発表を行いました。


グループごとに、自分たちの意見を発表する(上智大学)

3団では都立三鷹中等教育学校の中等生による歓迎レセプションが行われ、歓迎のダンスや日本に関するクイズなどが行われました。その後は高校生の1クラスと交流会を持ち、お互いにダンスを発表したり、日本語や英語を交えながら自己紹介やお互いの学校生活について自由に話し合える時間になりました。


日本語で自己紹介をする韓国団員(都立三鷹高校)

10日目はそれぞれ文化体験を行い、午後には研修のまとめとして意見交換会を持ちました。団員からは「間接的に知っていた津波の被害状況を直接見、自然災害の恐ろしさを日頃の訓練の必要性を切に感じた」「被災訪問を通じ、日本人の故郷を愛する気持ちとまた復興させようとする意思に驚き、この痛みを忘れずに生きて行こうと思った」「韓国に帰ったら日本についての偏見と誤解、そして被災地の状況を伝えて、これからの日韓交流が円滑に友好的になされればと思う」という感想がありました。

<日程>

1月14日(月)
成田空港着
15日(火)
講義、歓迎昼食会、岩手県へ移動
16日(水)
震災復旧活動講話、被災地訪問プログラムオリエンテーション、復興応援メッセージ作成
17日(木)
被災地企業視察(株式会社さいとう製菓)、陸前高田市視察
18日(金)
釜石市視察、三陸鉄道震災学習列車乗車(小本駅→宮古駅)
19日(土)
帰国後アクション発表会準備および発表会、ファームステイ対面式
20日(日)
ファームステイ
21日(月)
ファームステイより集合、東京へ移動、外務省訪問、都内視察
22日(火)
1団:横浜国立大学訪問、2団:上智大学訪問、3団:JAXA調布航空宇宙センター見学、東京都立三鷹中等教育学校・三鷹高等学校訪問
23日(水)
文化体験(1・2団:茶道、からくり屏風、3団:和太鼓、能楽)、全体報告会
24日(木)
皇居見学、成田空港より帰国