【キズナ】岩手県高校生訪韓研修団(2012.11.18~11.24)

11月18日から11月24日までの6泊7日の日程で、岩手県高校生訪韓研修団53名が韓国を訪問し、研修を行いました。
(団長:鈴木俊 盛岡中央高等学校教頭)

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本研修は、外務省の「アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流(キズナ強化プロジェクト)」の一環として行われました。同世代の交流を通じた相互理解をはかると同時に、東日本大震災の被災体験や現在の復興の状況を韓国で発信することを目的とするもので岩手県の高校生50名が参加しました。

研修2日目には本研修の韓国側実施団体である教育科学技術部(日本の文部科学省)の傘下機関である韓国国立教育院を訪問しました。
韓国国立教育院院長からは歓迎の挨拶が述べられた後、岩手県高校生訪韓研修団の代表生徒から、一行を迎えてくれたことへの感謝の気持ちを表すとともに、自分たちは岩手から来て全員が東日本大震災の怖さを体験していること、今回の訪問では、震災直後の状況と現在の復興状況を韓国の方に伝えていきたいという抱負が述べられました。また教育院関係者の方々に、震災と復興状況について発表を行いました。


訪韓研修に対する抱負を述べる団員

3日目は韓国の水原、公州地域を訪問し、韓国産業の見学や、百済と朝鮮時代の史跡や民俗村を見学しました。4日目には烏頭山統一展望台を訪問し、目の前に見える北朝鮮の様子を見学しながら、分断の現実に思いを馳せました。


展望台から北朝鮮を望む

午後には、在大韓民国日本国大使館公報文化院を訪問しました。山後副院長から一行に対し、被災についてのお見舞いのほか、大使館業務の紹介とともに、今回の訪問で韓国の方々に日本の復興の状況を伝えてほしい、また目で見て感じたことを今後に生かしてほしいとの挨拶がありました。この後、団員から山後副院長との質疑応答の時間になり、外交官という仕事のやりがいについて、今まで外交官として働いてきた中で楽しかったことは何か、また日韓の友好のために高校生の立場としては何をすればいいのか、といった質問が相次ぎました。


山後院長に質問をする団員

5日目と6日目は、本研修のメインプログラムでもある学校訪問とホームステイがありました。今回は水原にある長安高校に1日訪問をし、韓国の高校生との交流や授業体験をした後、同校の生徒のお宅に一日ホームステイをしました。

まず学校訪問では、長安高校1・2年生約700名が参加した歓迎式から始まり、ここで訪韓団一行による東日本大震災の現況や復興状況についてプレゼンテーションを行いました。
津波が町を襲った様子や震災の被災状況や現在の復興状況を、スクリーンに動画と写真を映しながら伝え、また岩手県の沿岸部だけでなく内陸地方の被災や風評被害などについても触れました。また自宅が津波に流され仮設住宅に住んでいる団員からは、仮設住宅の不便さを感じつつもより良い生活が送れるよう協力し合っているという話がありました。訪問校の生徒は、同世代の日本の高校生が被災した話を聞き、真剣に耳を傾けていました。


東日本大震災の被災状況を伝える

この発表が終わった後は、長安高校の生徒と一緒に英語や、日本語、体育、美術などの授業を一緒に受けました。なかなか言葉が伝わらなくても身振り手振りを交えながらコミュニケーションを図っていました。
また学校訪問終了後は、翌日までホームステイへ向かい、ホストファミリーの学生と買い物に行ったり、家でお母さんの手料理を食べるなど、等身大の韓国の生活に触れる良い機会となりました。


カードに名前を書き、自己紹介をする


音楽の時間で、韓国の伝統楽器チャンゴを習う


別れを惜しむ長安高校の生徒と団員

<団員の感想文より>
「私達は長安高校を訪問し、今回の地震について話した。同年代の人達と国境を超えての交流などなかなか出来ることではない。地震やその被害の大きさ、人々の努力、被災地の現状、出来る限りの力で思うことを伝えたが、伝えたかったこと以上に伝わったことは多かったように思える。言語の壁の存在に圧倒されるよりも、心の壁を感じることなく充実した交流が出来た事が心に残る。」
「今回の研修で私は絆プロジェクトの最大の目的である東日本大震災の現状を伝えることができた。また、同世代の学生と交流したことによって、視野が広がったと思う。この大震災によって失ったものは大きいが、私たちは今まで気づかなかった幸せに気づいた。私は、世界のことにも目をむけることの大切さを実感し、改めて韓国という国を身近に感じることができるようになった。このことを、自分の将来に役立てたいと思ったし、より交流を深め、今後の日韓の友好関係を築いていきたいと考えるようになった。」

<日程>
11月18日(日)
岩手県出発、仙台空港発、仁川国際空港着
19日(月)
韓国国立国際教育院訪問、キムチ作り体験
20日(火)
国立公州博物館、武寧王陵、韓国民俗村、水原華城見学
21日(水)
烏頭山統一展望台見学、サムルノリ(チャンゴ)体験、景福宮、在大韓民国日本国大使館(公報文化院)訪問
22日(木)
長安高等学校訪問、ホームステイ
23日(金)
ホームステイ集合、文化体験(伝統衣装・礼儀作法/テコンドー)、ショッピングセンター視察、JUMP鑑賞
24日(土)
仁川国際空港発、仙台空港着、岩手県帰着