【キズナ】日本大学生訪韓研修団(第2団、2013.3.19~3.28)

3月19日から28日までの9泊10日の日程で、日本大学生訪韓研修団(第2団)が訪韓しました。
(団長: 藤本典嗣 福島大学共生システム理工学類 准教授、韓国側主催団体:大韓民国教育科学技術部国立国際教育院)
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本研修は、外務省の「アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流(キズナ強化プロジェクト)」の一環として、東日本大震災の被災体験や現在の復興の状況を韓国内で発信することを目的として、被災地域に居住、もしくは出身の大学生18名が参加して行われました。

2日目、南山韓屋村を訪問し、さまざまな韓国の伝統文化体験を行いました。
韓服体験では、講師から、男女で違う正式なお辞儀の作法を教えてもらい、韓国の礼儀作法について理解することもできました。また、「サラン(愛)」、「ヘンボク(幸福)」などを筆で書く韓国書道体験も行い、団員たちは日本語とは異なるハングルに苦戦しつつも、それぞれ作品を仕上げました。


女性のお辞儀の作法を習う

3日目、慶煕大学を訪問し、キャンパスツアーの後、文化観光コンテンツ学科の日本語を学ぶ授業を受講しました。団員たちは慶煕大学生の隣の席に座り、会話の練習相手をつとめ、交流を行いました。
また、韓国語・韓国文化に関する特別講義を受講し、簡単な韓国語会話や目上の人を敬う韓国文化についての知識を深めました。

団員による東日本大震災復興に関する情報発信の時間には、授業で交流した文化観光コンテンツ学科の学生を中心に、約50名の学生が参加してくれました。
9名の団員が3パートに分かれ、「自身の被災体験」、「復興の様子、復興のためのボランティア体験」、「韓国の方に伝えたいメッセージ」について自らの言葉で語り、さらに震災時韓国からの支援への謝意も伝えました。
例えば、ボランティア体験を行った団員が、大きな被害を受けつつも希望を持ち、前進している被災地や被災者の様子を報告し、また、震災に関して関心を持ち続けてほしい、復興しつつある日本に是非遊びに来てほしいというメッセージを伝える団員もいました。
集まった学生たちは熱心に聞き入っており、原発事故のあった福島県の現在の状況、被災地域に遊びに行っても大丈夫かどうかについて、どのような防災教育が行われているかについての質問がありました。


プレゼンテーションを行う団員

その後、日韓の学生が混合の5グループに分かれて、お互いの学生生活について自由にディスカッションをしました。入試、兵役、アルバイト、試験など、話し合っているうちに、日韓の学生生活の違いに気づき、お互いの考えをぶつけ合うことで交流が深まったようでした。その後、日韓のディスカッション参加者で、夕食会を行い、さらにいろいろな話をすることができました。


日韓の学生生活の違いに驚く場面もあった

団員たちも積極的に韓国の学生とコミュニケーションを取り、別れがたい様子で、
「韓国の学生といろいろな話をすることができた」
「韓国人の友達ができた」
と、喜んでいました。


すっかり打ち解けた日韓の学生たち

4日目、駐韓国日本国大使館公報文化院を訪問し、山後副院長より、大使館・公報文化院の役割、現在の日韓関係を中心に、ブリーフィングを受けました。
日韓での人と人との交流の重要性、今回の「キズナ強化プロジェクト」の目的である、現在の日本、被災地の状況について、団員の言葉により、韓国内で発信することの大切さについても言及があり、団員たちも積極的に質問を行っていました。

5日目、韓国国立中央博物館等を見学後、ソウル市周辺で2泊3日のホームステイを行いました。
ホームステイに関し、団員たちからは下記のような感想がありました。
「ホスト家族がとてもあたたかく迎えてくれ、感謝している。普段の生活のイメージがつかめ、良い体験ができた」
「韓国語がうまく通じなかったが、言葉を使わなくてもやさしさに触れることができたのが大きな収穫となった」
「韓国の家庭料理、一般家庭の1日、家族とのかかわり方などを体験し、韓国への理解が深まった。日本との違いが分かり、日本の文化のすばらしさに気づくことができた」

7日目には、朝鮮王朝時代の伝統文化、特に両班(貴族階級)文化を今も守り続けている世界文化遺産・安東河回村を訪問し、昔ながらの両班住宅や草葺きの民家などを見学し、8日目には、慶州で世界文化遺産・石窟庵・仏国寺を見学し、韓国の歴史遺産に関する知識も深めました。

9日目は、釜山外国語大学校を訪問し、日本語学科の授業を受講し、在学生と一対一で日本語会話の練習相手をつとめました。


日本語でお互いについて紹介し合う
 
また、団員による東日本大震災復興に関する情報発信の時間には、日本語専攻の学生、約30名が参加してくれました。慶煕大学校での発表同様、9名の団員が3パートに分かれ、自身の体験を中心に情報発信を行いました。
例えば、地域で行われている防災教育について説明する団員や、ボランティアを経験した団員たちからは、被災地での高齢者を対象とした健康管理を目的とした活動や、文化財保護に関する取り組みなど自身の経験に基づく紹介を行いました。また、福島県出身の団員からは、原発事故による福島県の風評被害について、正しい認識を持ってもらい、是非福島に遊びに来てほしいというメッセージがありました。


情報発信を行う団員

研修全体を通して、団員たちからは、
「学生と交流できたのがとても良かった。なかには<初めての日本人の友達>と言ってくれ、別れを惜しんでくれた学生もいて、もっとたくさんの学生と交流したいと感じた」
「研修を通して、日本で本を読んでいるだけでは知りえない韓国の現状を垣間見ることができた。今回の経験を活かし隣国韓国に対する見識を深めたい」
「韓国が大好きになった。将来は韓国と日本を結ぶような仕事をしたいと強く感じた。そのためにも、韓国語をより一層学びたい」
といった感想がありました。

<日程>
3月19日(火)

仁川国際空港着
3月20日(水)
昌徳宮見学、国際教育院歓迎式、歓迎昼食会、韓国文化体験(韓服、韓国書道、折り紙体験)
3月21日(木)
慶熙大学校訪問(東日本大震災復興関連情報発信、日韓学生ディスカッションを含む)
3月22日(金)
駐韓国日本国大使館公報文化院訪問、景福宮見学、自由研修
3月23日(土)
韓国国立中央博物館見学、ナンタ観覧、ホームステイ対面式
3月24日(日)
ホームステイ
3月25日(月)
安東へ移動
安東河回村見学、慶州へ移動
3月26日(火)
慶州見学(石窟庵、仏国寺ほか)
3月27日(水)
釜山へ移動
龍宮寺見学、釜山外国語大学校訪問(東日本大震災復興関連情報発信を含む)、修了式
3月28日(木)
金海国際空港より帰国