【JENESYS2.0】福島県いわき市中学生訪韓研修団(2013.9.8~9.14)

9月8日から9月14日までの6泊7日、福島県いわき市の中学生50名による訪韓研修を実施しました。団員の中学生45名はいわき市内の中学校44校から選抜された生徒会長らで構成され、「JENESYS2.0」の一環として、韓国の中学校訪問や文化体験・視察のほか、日系企業の訪問などを通じて、韓国の文化・社会に対する理解を深めました。
(団長:佐川秀雄いわき市教育委員会学校教育推進室長)
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※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
9月8日(日)
いわき市出発、羽田空港発、金浦国際空港着
9月9日(月)
景福宮見学、ソウル日本人学校訪問
9月10日(火)
企業訪問(韓国日研)、体験学習(テコンドー、韓国伝統衣装・礼儀作法)、韓国国立国際教育院訪問
9月11日(水)
キムチ作り体験(工場見学)、韓国民俗村、水原華城見学(現地、南水原中学校生徒との合同見学・夕食交流会)
9月12日(木)
東馬中学校訪問、在大韓民国日本国大使館訪問
9月13日(金)
オドゥサン統一展望台見学、サムルノリ(チャンゴ)体験、ショッピングセンター視察
9月14日(土)
金浦国際空港発、羽田空港着、いわき市帰着

 

2日目、ソウル日本人学校を訪問した一行は、同校中学生の案内でグループ別に施設を見学し、可動式のプールなどの最新の設備とゆったりとしたスペースで構成される校舎に感嘆の声を上げていました。続く交流会では、団員から「繋ぐ記憶」をテーマとする発表を行ったほか、日本人学校の生徒と「私たちにできる福島の復興」について意見交換を行いました。訪問を通じて、日本人学校の生徒は震災に対する備え、復興に現状や必要な支援について、団員は韓国に暮らす同世代の生活について、それぞれ当事者の声をきくよい機会となりました。

3日目午前は、工作機械用アタッチメントや切削工具製造メーカーの韓国日研を訪問しました。同社80名以上の従業員の中で唯一の日本人である社長から、会社概要や企業理念を熱く語っていただきました。「社員の幸せは会社の利益」「外国語は人生において大きな武器になる」などの社長のお話に、団員らは自分の生き方や生徒会活動の参考になったと感想を述べていました。

午後はテコンドーと韓国伝統衣装・礼儀作法を学ぶ2コースに分かれての文化体験を行いました。テコンドーでは慣れない動きでしたが基本動作から懸命に取り組み、伝統衣装では男女それぞれの衣装の種類やお辞儀の仕方を丁寧に学び、ともに韓国文化を体感していました。

4日目はソウル郊外に移動し、キムチ作り体験や水原地域の見学を行いました。水原華城では、地元の南水原中学校の生徒が合流し、日韓の中学生混成でグループ別の見学と夕食交流会が開かれました。短い時間でしたが、お互いに何とかコミュニケーションをとろうと努力する姿がみられ、団員からは進行にはなかったユニークな踊りを韓国中学生に披露するなど会場は大いに盛り上がりました。

5日目はメインイベントとなる東馬中学校の訪問でした。大勢の生徒による歓声に出迎えられ、交流がスタートしました。歓迎会では、去る5月に韓国中学生訪日研修団の団員として来日した生徒会長が、自分が日本でたくさんのことを学んだように、みなさんも今回の訪問で多くのことを学んでほしい、と挨拶し団員にエールを送ってくれました。
各団員には、募集定員の3倍を超す希望者から選抜された交流パートナーの生徒が1人ずつ付き、この日のさまざまなサポートをしてくれました。前日の水原での同世代交流を経験したことで、韓国の中学生との交流は2回目となり多少余裕を持って接していましたが、各クラスでの授業体験や韓紙工芸、給食、昼休みも一緒に楽しく過ごせたのもこのパートナー生徒の支えによるものでした。

午後の交流会では「創る希望」と題し、東日本大震災からの復興の状況からいわきの魅力、生徒会長サミットの活動までを、団員一人一人が約100の台詞全てを韓国語で発表しました。
「心に響く発表だった」「今後のいわき市の中学生らの活躍が楽しみだ」といった訪問校生徒の感想からも、精一杯気持ちを伝えようとした団員の心が通じたと思われます。

感動的な学校訪問に続き、駐韓国日本国大使館公報文化院を訪問しました。山後副院長から「本研修で直接見て肌で感じたことを将来に活かして欲しい」、常盤木書記官から「みんなは帰国後に学校でこの経験を報告する義務があるし、生徒会長であるからにはリーダーでない人も積極的に関与させられてこそ真のリーダーだ」とのメッセージをいただきました。最後に団員から、今度は「創る希望」を全て英語で発表すると、副院長からお褒めの言葉を頂戴しました。実は団員らは訪韓初日から毎晩遅くまで、時にはバスの中のわずかな時間も惜しんで、日本語・韓国語・英語と3カ国語でのプレゼンテーションの練習に取り組んできました。さまざまな場で地元いわきの魅力や自分たちの活動の様子と目標を発信する懸命な姿が印象的でした。

全日程の研修を終えた団員からは、「韓国で日本人の社長が日韓のために必死で働く姿を見て、両国の間にはとても深い絆があることを改めて知った」「国と国との関係は人と人との交流には関係がないと感じた」「韓国で震災のことを話すと共感してくれ、私たちにも何かできないか、と声をかけてくれる人がたくさんいて、とても心の優しい国だと思った」「言語が異なり、言葉が通じなくても心でつながることができることを研修後に伝えたい」
といった声が寄せられました。