【JENESYS2.0】韓国青年訪日研修団(2014.2.18~2.27)

「JENESYS2.0」の一環として、在大韓民国日本国大使館、在釜山日本国総領事館及び在済州日本国総領事館で選抜、派遣された韓国青年訪日研修団計87名が、去る2月18日から2月27日までの9泊10日の日程で研修を行いました(第1団団長:李守哲(イ・スチョル)大田新一女子高等学校教師、第2団団長 鄭美英(チョン・ミヨン)龍山高等学校教師、第3団団長 玄春順(ヒョン・チュンスン)済州大学校師範大学附属高等学校教師)。[@pause]

一行は、「日本を感じる」という研修テーマの下、滞在中、東京都内、地方(第1・2団:滋賀県、第3団:和歌山県)及び京都府で、学校訪問や企業訪問を行ったほか、ホームステイや文化体験を通して日本の魅力を体感しました。

※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
2/18(火)

到着(成田国際空港)
2/19(水)
研修に関するオリエンテーション、講義、歓迎昼食会、江戸東京博物館見学、
東京スカイツリー見学(第1団)、浅草見学(第2・3団)
2/20(木)
学校訪問・視察(東京都立三鷹中等教育学校訪問(第1団)、郁文館夢学園グローバル高等学校訪問・東京スカイツリー(第2団)、東京スカイツリー・東京都立板橋有徳高等学校訪問(第3団))
2/21(金)
都内視察(浅草、三鷹の森ジブリ美術館、原宿(第1団)、三鷹の森ジブリ美術館、原宿、(第2・3団))
外務省訪問
2/22(土)
滋賀県へ移動、彦根城、近江八幡市内視察、ホームステイ対面式(第1・2団)
和歌山県へ移動、地方の魅力に関する講義、ホームステイ対面式(第3団)
2/23(日)
終日ホームステイ
2/24(月)
離村式
百済寺見学(第1・2団)、企業訪問(中野BC株式会社)(第3団)
2/25(火)
企業訪問(タカタ株式会社)(第1・2団)、和歌山城、海善寺見学(第3団)
京都へ移動、:和菓子作り体験(第1団)、茶道体験(第2団)、京都視察(金閣寺)(第3団)
2/26(水)
文化体験(茶道・着物着付)、金閣寺(第1団)
文化体験(着物着付・和菓子)、金閣寺(第2団)、
文化体験(和菓子・茶道・着物着付)(第3団)
2/27(木)
帰国(関西国際空港)

 

 一行はまず、中央大学文学部宇佐美毅教授の特別講義「テレビドラマに見る韓国人と日本人」を受けました。日韓のテレビドラマを比較題材にしつつ、日本人の気質や感情表現などについてもお話し下さり、団員たちにとっては研修で出会う日本人との接し方のヒントを得る機会となったようです。
 
 都内で、第1団は東京都立三鷹中等教育学校、第2団は郁文館夢学園グローバル高等学校、第3団は東京都立有徳高等学校を訪問し、授業体験や学生交流を行いました。
 第1団が訪問した東京都立三鷹中等教育学校では、4・5年生(中学3年・高校1年生)を中心に歓迎してくれました。最初は緊張の様子の団員たちでしたが、1日付き添ってくれるペア生徒さんと対面し、お互いにコミュニケーションを取るうちに緊張がほどけ、その後の授業体験、給食体験、茶華道部・弓道部での部活動体験など、日本の学校生活を満喫した様子でした。また、交流会では日本の学生さんから歌の発表、団員からも日本語での演劇、歌、K-POPダンスの披露があり、盛り上がりました。

 第2団の訪問先、郁文館夢学園グローバル高等学校では、これから1年間留学予定の2年生が校門で出迎えをしてくれました。その後、1年間のカナダ・ニュージーランド留学から帰国したばかりという3年生が一人ずつパートナーとして滞在中ずっと付き添ってくれました。授業体験では剣道と書道、世界史や政治経済の授業に参加しました。お昼は校内の学食で日本の給食を体験し、交流会ではより多くの日本人の生徒が参加して教室の中が熱気でいっぱいになりました。

    
 第3団が訪問した東京都立板橋有徳高等学校では、1・2年生の国際交流委員の生徒を中心に訪日団を歓迎してくれました。委員の生徒と一緒にお昼を取り、各クラスの授業へと参加しました。授業では生徒の前で自己紹介をしたり、英語で質疑応答を行ったりする場面も見られました。また授業体験の後は、お琴や折り紙、書道、剣道、浴衣の着付けなどの日本文化を体験できる時間となり、折り紙やお琴の弾き方などを教えてもらったり、浴衣の着付けを手伝ってもらったりと、体験を通じてより一層深い交流をすることが出来ました。

 また、全団、浅草・江戸東京博物館見学を通して東京(江戸)の歴史や伝統文化を、東京スカイツリー、三鷹の森ジブリ美術館、原宿見学を通して現在の日本の技術、若者文化についての理解も深めました。
 

 4日目の外務省訪問では、代表学生より、前半日程の感想とホームステイ等の後半日程についての期待と抱負が述べられ、主に現在の日韓関係に関して活発な質問が挙がりました。これまでの日本の印象については「お客様を誠心誠意接待するという『おもてなし』をとても感じている。」、「日本の学生と友達になれて嬉しかった。」など人との触れ合いから好印象を抱いている団員が多く見られた。また、「これからの日韓関係をどのように進めていこうと考えているか。」、「高校生や中学生にも国費留学をさせて欲しい。」、「日韓交流を図っているいる団体やプログラムを教えてほしい。」など具体的な質問も積極的にされていました。

 日程5日目から8日目にかけて第1団及び第2団は滋賀県日野町に、第3団は和歌山県日高川町に移動し、2泊3日のホームステイのほか、企業訪問や文化体験を行いました。
 1・2団のホスト家族との対面式では緊張も見られましたが、2日後の昼食を兼ねた歓送会ではホスト家族とすっかり打ち解け、涙を流しながら別れを惜しみあう場面が見られました。

3団の和歌山県日高川町でのホスト対面式では、団員らは緊張と期待が混ざり合いながら、ホストファミリーの方と挨拶していました。ホームステイ中は、お好み焼きを作ったり、しいたけの菌うちをしたりと各家庭毎に楽しい時間を過ごしていました。お別れ式では団員からホームステイの感想発表があり、ホストファミリーの方が優しく接してくれて、スマートフォンより人と触れ合うほうが楽しいことが分かった、愛を感じさせてくれて感謝している、などの声が挙がりました。

各地方では、韓国と関係の深い史跡訪問を通し、日本と韓国、訪問地域と韓国とのつながりの歴史を実感することができました。
第1団・第2団は、近江八幡市内では、江戸時代、朝鮮通信使が通った道(通称:朝鮮人街道)一帯を散策したり、朝鮮半島からの渡来人とゆかりの深い百済寺を地元のボランティアガイドの方々の案内で見学しました。
 第3団は、江戸時代に紀州藩の侍講として登用された、李真栄・李梅渓父子の碑とお墓がある海善寺訪問を通して、関係者の方に詳しい説明を伺いました。

    
 企業訪問は、第1団は・第2団は滋賀県彦根市のタカタ株式会社の製造拠点の一つである彦根製造所を、第3団は和歌山県海南市の中野BC株式会社を訪問し、日本のものづくりについて理解を深めました。
タカタ株式会社では、自動車安全システム分野で、韓国をはじめ世界進出している同社の事業内容を韓国人社員の方から説明を受け、その後、実際にシートベルト製造工程を見学しました。団員からは、「実際に日本のものづくりの現場を見られてよかった」との感想がありました。

京都に移動した一行は日本文化により親しむため、古民家で着物体験をしたり、茶道資料館を見学した後、茶道を体験。その後、実際に和菓子を作りました。鮮やかで美味しいうえに、季節によって茶道でいただくお菓子が違うことに繊細な日本の茶の精神、和の心に触れたようだと驚く団員もいました。

今回の研修を通して、団員たちからは以下のような感想が聞かれました。
・学校訪問では学生達が予想以上に親切に接してくれて嬉しかった。どうやって声をかけたらよいのか分からずためらう自分に向こうから歩み寄ってくれるなど、ただの日韓間の学生交流ではない本当にずっと付き合っていきたいと思える出会いになった。
・日本人に対し今までネガティブなイメージを持っていたが、皆とても親切で悪いイメージがなくなった。
・日本人の優しさや様々な体験を通して自分の中にまた新たな価値観を見出すことができた。これを機に、もっと日本語の勉強を頑張って次回訪れる時は意思疎通ができるようにしたい。
・日本の一般家庭の雰囲気と伝統(ひな祭り)、日本人達の‘情’を感じることができ生涯忘れられない思い出になった。