【JENESYS2.0】日本大学生訪韓研修団(第1団)(2014.3.4~3.13)

「JENESYS2.0」の一環として、日韓文化交流基金で選抜、派遣した日本大学生訪韓研修団20名が訪韓し、3月4日から3月13日までの9泊10日の日程で研修を行いました(団長:近畿大学 文芸学部 酒勾 康裕 准教授)。一行は滞在中、大学訪問やホームステイ、地方での文化体験を通して、韓国の文化や社会について学んだ他、在韓国日本国大使館公報文化院を訪問し、日韓関係についても知識を深めました。[@pause]

※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
3月3日(月)

研修前オリエンテーション
4日(火)
仁川空港より入国、オリエンテーション、大韓民国歴史博物館見学、ソウルNタワー見学
5日(水)
清渓川見学、歓迎昼食会、DMZ見学
6日(木)
慶煕大学校訪問(特別講義聴講)、在大韓民国日本国大使館 公報文化院訪問、NANTA鑑賞
7日(金)
大田へ移動、大田大学校訪問、ホームステイ対面式
8日(土)
終日ホームステイ
9日(日)
夕方ホームステイ先から集合、感想発表
10日(月)
全州へ移動、韓屋村見学、伝統文化体験(韓服体験、韓紙工芸体験)
11日(火)
慶州へ移動、文化遺産見学(天馬塚、瞻星台、雁鴨池、石窟庵、仏国寺)、釜山へ移動
12日(水)
ヌリマル散策、南浦洞見学、修了式
13日(木)
金海空港より出国

入国後のオリエンテーションの後、一行はまず大韓民国歴史博物館を見学し、韓国の開港期から現在までの歴史を体系的に学びました。館の方の解説と一緒に、当時の街並みの様子や実際に使用されていた物などを見ることで、韓国の近現代の歴史の流れを実感を伴って理解できました。

日程2日目は本研修の韓国側主催団体である韓国国立国際教育院を訪問しました。歓迎式では同院の国際教育支援部長から「韓国の歴史、韓国人の生活を体験し、韓国と日本の違いを知り、理解し、韓国を一番理解する友人になって欲しい。日韓の発展のために自分たちがどうすれば良いのかを討論する機会になれば、と思う」という言葉が団員に語られ、団員も研修に臨む意欲を新たにしていました。
その後に坡州市まで移動し、臨津閣、第3トンネルを見学しながら、朝鮮半島の分断の歴史を学びました。平和に見える韓国が未だに戦争中だということを実感し、また、南北統一について改めて考える機会となりました。

日程3日目には慶煕大学校を訪問し、「日本と韓国 文化の違い」というタイトルで特別講義を受けました。講義では、韓国では寺を建てる際にも自然の素材を生かすことを好み、木の曲線や模様を生かす一方、日本は整えられていることに美を感じる、という日韓の美意識の違いについてや、日韓の対人関係における考え方の違いについて理解を深めました。特に、韓国人のパーソナルスペースの範囲を教えられると、日本人のそれと比べかなり狭いことに驚く団員が多くいました。

同日には在韓国日本国大使館公報文化院も訪問しました。質疑応答では、団員から公報文化院でのイベント実施の際に苦労することやそのプロモーション方法、仕事のやりがいについてなど多くの質問が出ていました。途中、佐々山総務公使から外交官の資質についてや、「色々な分野に積極的に取り組んでほしい。今後も日韓間の交流に協力を願いたい」という言葉が述べられると、真剣にその言葉を受け止める団員の姿が見られました。

4日目には大田に移動し、本研修の実施機関である大田大学校で、待ちに待った韓国の大学生との交流を行いました。韓国人学生との対面では、団員が小物を選んでその持ち主がその日のバディになる、というユニークな方法で対面が行われました。その後に行われたジェスチャーゲームや○×クイズは大いに盛り上がり、笑顔が絶えない交流会となりました。最後にはグループ毎にディスカッションを行い、日本人との共通点や違いを改めて認識する機会になった様です。

その後、団員達は2泊3日間のホームステイに向かいました。ホームステイを終え、団員からは「ホームステイを通して韓国人の生活様式や習慣を知ることができたし、なにより家族と親しくなれ友達の輪が広がっていくことが嬉しかった」「ホストから‘家族の一員だと思うからアボジ(父親という意味)と呼んで’と言われて感動した」といった感想が出ていました。多くの団員が今後も持続する縁を結ぶことができた様でした。

7日目には全州へ移動し、韓国文化を楽しみました。全州の特産品であるビビンパを作って食したり、韓紙工芸で鏡を作ったりしました。他にも、韓国の伝統的な家屋が立ち並ぶ韓屋村は日本とはまた一味違った趣があり、団員も関心を持って見学をしていました。
  
   
翌日には慶州へ移動し、文化遺産、世界遺産を見学しました。仏国寺では現地ガイドの案内により、仏教の教理について学び、瞻星台や天馬塚などの文化遺産見学ではその建築技術や出土品から百済時代の技術力の高さを目の当たりにしました。
  

研修を終え、団員たちからは以下のような感想が述べられました。
・毎日充実していた。プログラムを通して自分がこれからしなければいけないこと、努力しなければいけないことを見つけた。日本に帰ったら頑張りたいと思う。
・韓国は初めての訪問だった。どんな人たちなのか、どんな国なのか知らずに不安だった。実際に来てみると人の温かさ、町の雰囲気を見て日本と同じだと思った。慶煕大学校訪問の際の、国際教育院長の「日韓は協力しないと発展はありえない」という言葉が心に残った。
・人生のターニングポイントと言えるくらい、ホームステイが印象深い。生まれて初めて日本人と触れ合わずに生活した。韓国語は分からないが、ホストの言っていることが何となくわかったことから、お互い分かり合おうとすれば言葉は分かるんだと思った。これから韓国語を本気で習い始め、ホストに韓国語で連絡できるようになりたい。
・日韓関係が悪化しているので、日本人に対して冷たいのではないか、ホストファミリーに拒絶されるのではないかと危惧していたが、実際はみんな優しく声をかけてくれ、ニュースで見るようなあからさまな反日感情は見受けられなかった。
・その国や人々の本質を知るためには実際に交流してみないと分からないということを痛感した。

研修を終え、団員達はより一層韓国への関心が高まった様です。今後、団員達はSNSや学校での発表を通して、今回の研修で学んだことや感じたことを周囲の人々に発信していきます。