日本大学生訪韓研修団(第2団)(2014.3.18~3.27)

「JENESYS2.0」の一環として日韓文化交流基金で選抜、韓国へ派遣した日本大学生訪韓研修団20名が3月18日から3月27日までの9泊10日の日程で研修を行いました(団長:神奈川大学外国語学部国際文化交流学科 久田和孝助教)。
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一行は滞在中、大学訪問やホームステイ、地方での文化体験を通して、韓国の文化や社会について学んだ他、在韓国日本国大使館公報文化院を訪問し、日韓関係についても知識を深めました。

※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

主催:公益財団法人 日韓文化交流基金、韓国国立国際教育院
実施:韓国慶煕大学校

<日程>
3月17日(月)

研修前オリエンテーション
18日(火)
仁川空港より入国、ソウルNタワー見学
19日(水)
昌慶宮見学、歓迎式、歓迎昼食会、南山韓屋村・文化体験(韓服・書道・韓紙工芸)
20日(木)
ソウル特別市市庁舎視察、慶煕大学校訪問(特別講義聴講、慶煕大学学生との1対1交流・キャンパスツアー及び交流夕食会)
21日(金)
景福宮見学、在大韓民国日本国大使館 公報文化院訪問
22日(土)
韓国国立中央博物館見学、公演NANTA鑑賞、ホームステイ家族との対面式後ホームステイ
23日(日)
終日ホームステイ
24日(月)
ホームステイ先から集合、慶州ヘ移動、慶州良洞村・文化遺産(芬皇寺、雁鴨池)見学
25日(火)
文化遺産(石窟庵、仏国寺、天馬塚、瞻星台)、新羅ミレニアムパーク見学・文化体験(木工芸)
26日(水)
海東龍宮寺見学、釜山外国語大学訪問(特別講義聴講、釜山外国語大学学生と交流・キャンパスツアー)送別晩餐会
27日(木)
研修感想報告会、修了式、金海空港より出国、成田空港到着入国

 

研修初日。仁川空港より韓国に入国後、バスでソウルNタワーに移動しました。車中では、ソウル特別市の中心を東西に流れる漢江や早春のレンギョウが咲き誇るソウルの街並みを眺めながら、現地通訳案内士から韓国での滞在について説明を受け、研修に臨む意気込みを一人一人発表しました。また、韓国やソウルについての事前課題学習を担当した団員がレポートを発表しました。その後、南山ケーブルカーを利用して上ったソウルNタワーでは、残念なことに霞んでいて遠くの山々までは見ることができませんでしたが、日本とは違う風景に興奮を隠せない様子でした。
 
    
日程2日目は、昌慶宮の見学を終えた後、韓国国立国際教育院を訪問。歓迎式では、同院国際教育支援部部長のキムチャンウン氏より「韓国語には、『家を出れば苦労するが、若いうちの苦労は買ってでもしたほうがよい』ということわざがあり、今回の訪韓中に辛いことや大変なことがあっても、良い経験になったと考え、様々なことに挑戦して欲しい。」とのお言葉いいただき、「益々これからの研修が楽しみになった。」と眼を輝かせている団員の姿が印象的でした。

歓迎昼食会終了後は、南山韓屋村で韓服を試着して韓国のお辞儀の仕方を学び、ハングル書道と韓紙(折り紙)工芸体験を行いました。「日本と似ているけれど、日本と違う書道や折り紙に戸惑った。」と言いながらも韓国の伝統文化に触れ、また一つ韓国を感じることができたようでした。

日程3日目にはソウル中心部の光化門、清渓川を見学した後、ソウル特別市市庁舎を訪問。市庁舎内を現地のボランティアガイドが案内してくれました。ソウル市庁舎は2012年に新庁舎が完成し、旧市庁舎の一部を図書館として市民が自由に利用できるようになっており、旧市長室も一般の方に開放していました。団員は、「市民に開かれた市政と環境にやさしいグリーン庁舎を大切にしている感じを受けた。」、「庁舎の外に大きな壁いっぱいの韓国の国旗が掲げられていて韓国の国民性を感じ驚いた。」など、改めて訪韓したことを実感しているようでした。

午後からは、慶煕大学を訪問しました。校内での歓迎会では、同大学国際教育院キム・ジュンソプ院長から「こらからの若い世代に期待をしています。研修の間は、是非、健康で楽しく!新しい友達をたくさん作ってください。そして、何でも見て!感じて!真似してみてください!」と熱いエールを受けました。その後、「日本と韓国、文化の違い」をテーマに、同大学国際教育院イ・スヒョン先生の文化特別講義を聴講しました。講義中には簡単な韓国語会話も練習もあり、団員は研修中に出会うであろう未来の友人のために熱心に勉強していました。そのすぐ後に行われた同大学学生との1対1交流やキャンパスツアー、交流夕食会では雨が降り始めたにも関わらず日韓両国の学生の熱く楽しいトークが華を咲かせていました。

日程4日目には景福宮とその中にある韓国国立民族博物館を見学した後、在韓国日本国大使館公報文化院を訪問しました。同院の山後貴弘副院長から大使館や文化公報院、外交官の仕事の説明を受けた団員は「外交官になるためには外国語をどのくらい習得していないといけないか」、「外交官になったきっかけは」「外交官になる前のイメージとの違いは」、「外交官になって楽しいと思った瞬間は」、「外国に行く時気を付けることはあるか」、「今の学生に臨むことは何か」などの具体的な質問が多く上がりました。その一つ一つに真剣に答えてくださる山後副院長の言葉に団員の代表は「今回の研修で日本と韓国を比較しながら色々なものを学び、情熱をもって吸収して帰りたい」と、その後の抱負を語りました。

日程5日目は韓国国立中央博物館を学芸員の方に案内していただきながら見学した後、韓国で有名な公演「NANTA」を鑑賞し、夕方には待ちに待ったホームステイ家族との対面式!翌日の滞在6日目は終日ホームステイ家族と過ごした団員たちでした。

そして日程7日目の朝。ホームステイ家族に見送られて集合した団員。別れを惜しむようにバスに乗り換えて、韓国の古都、慶州にある韓国の古民家(韓屋)が集まる良洞村へ向かう途中、それぞれのホームステイ家族との思い出を語り合いました。「みんなが楽しみに待っていてくれて嬉しかった」、「夕食時に10人以上も集まって大勢で焼肉を食べたのに驚いた」、「初めて会ったのに自分の家族のことを話してくれて嬉しかった」など、韓国ホスト家族の温かさを語る団員たち。その中でも、「家族みんなが揃うことがなく忙しい生活をしていることにびっくりした」、「いろんな人が家に来てバラバラにご飯を食べていた驚いた」と意外な面に気が付く団員も多くみられました。また、「面倒見の良さに感心したが、少し申し訳なく思った」、「日本について質問されたが答えられなくて残念だった」などの感想も聞かれました。
日程7日目と8日目は新羅王国の都・金城(クムソン)の地である慶州市内を訪れました。世界遺産の石窟庵や仏国寺をはじめ、瞻星台や天馬塚など多くの歴史的建造物を見学しました。また、新羅ミレニアムパークでは、昔から村の守護神やお寺・地域の境界の標識として存在していた木像のチャンスン作りに挑戦しました。簡単な木工芸なのですが、皆、思い思いの願いを込めながら作り上げました。

   
日程9日目は、いよいよ最後の地、釜山へ移動。岸壁に建てられた龍宮寺を見学した後、昨年、新キャンパスに移転した釜山外国語大学を訪問しました。まずは、同大学ビョン・ギチャン教授から「お互いを理解することが大切。これからの日韓関係を考えていくうえで良い機会となるように。」というご挨拶をいただきました。その後、同大学の教授であり、日本研究所所長のジョン・ギヨン教授による「日韓生活文化とマナー=日韓関係の未来を考える=」特別講義が開かれました。両国の生活に密着した部分から日韓の未来にまで講義内容は多岐にわたりました。その中でも、ジョン・ギヨン教授の「日韓関係を勉強している人には責任がある。是非、皆さんには日韓のかけ橋になってもらいたい」、「日本の大学生には、もっと自己主張をして積極性を持ってもらいたい」という言葉は団員の胸に深く残った様子で、最後に行われたキャンパスツアーでは、とても短い時間でしたが、韓国の大学生と積極的に話をする団員の姿勢が印象的でした。
      
    
研修最終日の朝。釜山の金海空港に向かう前に修了式が行われ、慶煕大学国際教育院チョ・ヒョンヨン副院長から修了書が授与されました。
研修を終えて団員たちからは以下のような感想が述べられました。
・韓国の人々は何でも急いでやるという印象を受けたが、東京の忙しさとはまた違い独特なものだった。
・日韓関係について、韓国人の先生から直接講義を受けられたことは幸せなことだった。
・日本人は受け入れてもらえないと思っていたが、ホームステイでも学校訪問でも多くの人に話しかけてもらえて、日本に興味を持っている人たちが沢山いるんだということに気が付いた。
・ソウルにある日本大使館広報文化院の図書室で日本の文献を読んでいる姿がとても印象に残っている。反日感情が高まっているというイメージを持っていたことが恥ずかしく思えた。実際に韓国に来て、もっともっと韓国のことを知りたくなった。
・直接、韓国の方に聞くことができて、メディアでいわれていることとの違いがあることに気が付いた。考え方の多様性を持つことができた。
・日本がどう考えられているか、自分自身が日本を考えるきっかけになった。
・韓国の大学生は目標がしっかりしている。世界に目が向いていて刺激を受けた。
・韓国の人は日本語が少しでも話せると積極的に日本語で話をしてくれて、とても嬉しかった。相手の国の言葉を話すということは相手に歩み寄ることなのではないかと感じた。帰国したら韓国語を勉強したいと思う。
・韓国の大学生はスペックを高めるために物凄く勉強をしているという感じを受けた。自身も学習に取り組む姿勢を考え直さなければと思った。
・韓国の方の知識の多さに驚いた。韓国の教授から「どのようなことも妥協するべきではない」と言われていたが、今回は知識不足のため対話に妥協してしまった。もっと勉強して、この先また話し合いに来たいと思う。
・韓国語が話せず言葉の壁を感じることもあったが、何事も改善できないと諦めるのではなく何でもしてやるぞ!と思えるようになった。
・実際の韓国を見て対話をし、これまでメディアを通じて知っていたことが全てではない。一緒に参加した団員とも日韓関係について話せたことがとてもよかった。もっともっと知らないといけないと感じた。
・これから自分が何をするべきか改めて考える機会になった。どの国の言葉で話すのかが重要なのではなく、自分の中にたくさんの引き出しを持てるような知識が必要なのだと感じた。

以上ように、今回の研修で韓国について、日本について、自分自身について、様々なことを感じ、考えた団員たち。「この経験をたくさんの人たちに伝えたい!」、「今後も良い日韓関係が続くように自分も力になりたい!」と熱く語っていました。