【JENESYS2.0】韓国青年訪日研修団(2014.7.29~2014.8.7)

「JENESYS2.0」の一環として、在大韓民国日本国大使館、在釜山日本国総領事館で選抜、派遣された韓国青年訪日研修団計110名が、去る7月29日から8月7日までの9泊10日の日程で研修を行いました(第1団団長:李振泰(イ・ジンテ)大邱韓医大学化粧品薬理学科教授、第2団団長 呉在命(オ・ジェミョン)京院中学校日本語教師、第3団団長 金珉子(キム・ミンジャ)元墨高等学校日本語教師。)[@pause]
日頃から日本に関心を持っている団員が多く、「日本を感じる」という研修テーマの下、滞在中、東京都内、地方(第1団:大分県、第2・3団:石川県)及び大阪府・京都府で学校訪問や企業訪問を行ったほか、ホームステイや文化体験を通して、日頃から見聞きしている日本を実際に見て感じることで、より一層理解を深めていました。
※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
7/29(火)
到着(羽田空港・成田国際空港)
7/30(水)
研修に関するオリエンテーション、講義、歓迎昼食会、都内視察、外務省訪問
7/31(木)
学校訪問・視察〈東洋大学訪問(第1団)、東京都立桜修館中等教育学校訪問(第2団)、明治学院高等学校訪問(第3団))、日本科学未来館見学(第2、3団)〉
8/1(金)
日韓交流に関する講話、地方へ移動(1団:大分県、2、3団:石川県)
8/2(土)
第1団: 大分県内視察、文化体験(竹細工作り)、竹田市の魅力に関する講義
第2、3団:石川県立輪島高等学校学生との交流(輪島朝市見学、輪島塗箸づくり体験、キリコ体験、白米千枚田見学)
ホームステイ対面式(1団:大分県竹田市、2、3団:石川県能登町)
8/3(日)
終日ホームステイ
8/4(月)
ホームステイから再集合
第1団:企業訪問(くじゅう花公園)、大阪へ移動
第2、3団:兼六園見学、企業訪問(アール・ビー・コントロールズ株式会社)、京都へ移動
8/5(火)
第1団:帝塚山学院大学訪問、2団:京都市内視察(天龍寺・竹林の道)、文化体験(友禅染うちわ作り)、
第3団:文化体験(着物着付・日本舞踊)、京都国際マンガミュージアム見学
8/6(水)
第1団:文化体験(着物着付・日本舞踊)、京都の学生との交流(北野天満宮・金閣寺見学)
第2団:京都国際マンガミュージアム見学、文化体験(着物着付・日本舞踊)
第3団:文化体験(友禅染うちわ)、京都市内視察(天龍寺・竹林の道)
感想報告会
8/7(木)
帰国(関西国際空港)

 

一行はまず、武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部佐々木隆教授の特別講義「現代日本のマンガ/アニメ-芸術・産業-」を聞きました。講義の前半はマンガ/アニメの定義や歴史、日本のアニメにみられる特徴を、後半はマンガやアニメの産業としての面をクールジャパンに関連づけてお話いただきました。
講義冒頭、先生が団員へのサプライズとしてコスプレをして登場してくださり、会場は大いに盛り上がりました。マンガ、アニメへの関心が高い団員が多く、紹介された作品のほとんどを知っているような団員もいました。

その後の外務省訪問では、河上アジア青少年交流室長より「日本の魅力を発見し、同世代の交流など様々な経験をして、韓国に帰ってから周りの人に大いに伝えてほしい」との言葉が団員に送られると、団員代表からは「日韓両国の地理的利点を生かし、より活発な交流ができるように努めたい」との抱負が述べられました。訪問をきっかけに、団員はこれからの日程に臨む気持ちを新たにしていました。

日程中、多くの団員が楽しみにしているのが同世代の交流です。
第1団が訪問した東洋大学では、グループ別に少子化、就職といったテーマを振り分け、ディスカッションを行いました。テーマは予め与えられており、日韓学生共に事前学習を基に限られた時間内で有益な討論を行っていました。

第2団、第3団はそれぞれ都内の高校を訪問しました。どちらの学校でも訪問校の学生が主体となってプログラムを進めてくれ、文化体験、ゲームでの交流を通して親睦を深めました。仲良くなるのに時間はかからず、訪問後も多くの団員がSNS等を通して交流を続けています。

日韓交流に関する講話では、楊仁集眞露株式会社社長から「韓日の未来 自分から始めよう」とのタイトルで、楊社長の経験や自身の考えを踏まえて、今の時代を生きていくために必要な素養、日韓相互理解のためのヒント、過去の相互理解の歴史や、お互いを正確に知ることの重要性などが団員たちへのメッセージとして語られました。

日程5日目から8日目にかけて第1団は大分県竹田市に、第2団と第3団は石川県能登町に移動し、2泊3日のホームステイのほか、企業訪問や文化体験を行いました。
緊張した面持ちでホスト家庭に向かって行った団員も、2泊3日間のホームステイを経ると実の家族のようになっており、別れの際はホスト、団員共に涙を流しながら別れを惜しんでおり、姿が見えなくなるまで手を振っていました。

第2団、第3団は石川県で県立輪島高等学校学生との交流も行いました。和太鼓による歓迎演奏の後、グループ別に同校の学生も参加している輪島朝市の見学や、輪島塗箸沈金体験、キリコ担ぎ体験、白米千枚田の見学を通して交流を行いました。沈金体験を行った団員からは、「箸という日韓の共通文化を介して輪島市の伝統文化を体験することができて良かった」といった感想が聞かれました。

ホームステイ明けに実施した企業訪問では、第1団がくじゅう花公園を、第2団、第3団は石川県内のアール・ビー・コントロールズ株式会社鶴来工場を訪問し、日本の企業、日本のものづくりについて理解を深めました。
くじゅう花公園では、同所を観光の目玉とするために、牧畜組合と地域が協力して誕生した経緯などの話を伺った後、園内を見学しました。
韓国・仁川にも工場を持っているアール・ビー・コントロールズ株式会社では、実際の製造現場を訪問し、会社概要についての説明を聞きました。韓国と関わりのある会社ということで、団員も関心を持って聞いており、質疑応答の時間では、技術的なことや今後のビジョンなど、団員から多くの質問が上がっていました。

第1団は大阪に移動後、帝塚山学院大学を訪問しました。在学生による関西紹介では阪神タイガースや宝塚歌劇団について発表後、中庭で阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」をバックミュージックにジェット風船を飛ばし、日本の野球応援文化を体験しました。グループディスカッションでは韓国ドラマで日本でもリメイクされた「イケメンですね」を題材に日韓比較を行ったほか、「源氏物語のヒロインたち」という主題では団員たちが登場人物6人の中から共感できる人物を1人選び発表を行いました。

全団が取り組んだ京都での着付け・日本舞踊体験では、着物を着ての踊りの所作に四苦八苦しながらも師匠の動きについて行こうと真剣に取り組んでいました。その他、第2団、第3団が訪問した京都国際マンガミュージアムでは、日頃から読んでいる日本の漫画を前に目を輝かして館内の見学をしている団員が多く見られました。

今回の研修を通して、団員たちからは以下のような感想が聞かれました。今後は各団員がそれぞれの場所から今回の研修成果を発信していく予定です。
・日本人についてよく言われる「本音と建前」の文化から、日本人は怖いというイメージがあったが、日本の学生との交流、ホームステイを通して、それは悪いことではなく、他人を配慮しての文化だと感じた。
・来日前に抱いていた日本についての良くない印象がなくなり、認識が変わった。訪問校の校長先生の言葉の通り、国と国とではなく、人と人との関係が本当に大事であると感じた。
・自由研修のときに道がわからなくて、通りすがりの人に道を聞いたら目的地まで連れて行ってくれた。韓国ではなかなか見ることのできない場面に接し、日本人の親切さを感じた。