【JENESYS2.0】日本大学生訪韓研修団(韓国外交部招聘)(2014.9.10~2014.9.19)

「JENESYS2.0」の一環として日韓文化交流基金で選抜、韓国へ派遣した日本大学生訪韓研修団28名が9月10日から9月19日までの9泊10日の日程で研修を行いました(団長:外務省アジア大洋州局北東アジア課日韓交流室長地域調整官 喜多律夫氏)。[@pause]一行は「食文化」という研修テーマのもと、韓国の食文化を現地で直接学び、様々な体験をしてきました。滞在中は、大学訪問やホームステイ、地方での文化体験を通して韓国の文化や社会について学んだほか、日韓交流おまつりin Seoul 2014へも参加し、日本文化の発信を行いながら、より多くの韓国の方と交流をすることができました。また、在韓国日本国大使館公報文化院や韓国外交部を訪問し、日韓関係についても一層知識を深めました。
※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
9月9日(火
事前研修会
9月10日(水)
金浦空港より入国、オリエンテーション、韓国国際交流財団主催 歓迎晩餐会
9月11日(木)
韓食財団訪問(特別講義「韓国の食文化~読んでおいしい韓食~」)、在韓日本国大使館 公報文化院訪問、韓国餅博物館観覧、韓国伝統飲食研究所での韓食(キムチ、ビビンバ)料理作り体験
9月12日(金)
板門店見学、臨津閣国民観光地見学、ホストファミリーとの対面後ホームステイ
9月13日(土)
ホームステイから集合、昌徳宮観覧、公演NANTA鑑賞、ホームステイ感想報告会、Nソウルタワー観覧
9月14日(日)
日韓交流おまつり2014 in SEOULへ参加(ブースでの日本文化紹介)
9月15日(月)
韓国外交部訪問、韓国民俗村観覧及び、文化体験(伝統餅作り・韓紙人形作り)
9月16日(火)
青瓦台サランチェ観覧、青瓦台サランチェでの韓食(プルコギ・海鮮チヂミ)体験、韓国外国語大学訪問(日本語大学学生との懇談会・韓国食文化に関するチーム別調査及び発表準備)
9月17日(水)
慶州ヘ移動、慶州文化探訪(大陵苑・雁鴨池)、蔚山へ移動、通度寺テンプルステイ体験
9月18日(木)
通度寺テンプルステイ体験、文化体験(色染め)、釜山へ移動、チャガルチ市場散策、釜山文化探訪(ヌリマル)、評価会(韓国食文化に関するチーム別発表)、送別晩餐会
9月19日(金)
金海空港より出国、成田空港到着入国

 

羽田空港から金浦空港に向かう飛行機の中、韓国について事前に団員全員で作成した事前学習レポートを読む団員の姿に今回の研修に臨む熱意を感じながら到着したソウル。バスで中心街に向かう車中からはソウル特別市の中心を東西に流れる漢江に照りつける残暑の日差しがきらきらと眩しく、少し緊張していた団員の顔にも笑みがこぼれていました。最初に訪問した韓国国際交流財団のオリエンテーションでは、同財団人事交流チームのハム・スンフンチーム長より「韓国と日本が近くて近い国になっていくことを願っている。皆さんのような若い学生同士がお互いを良く知りあい、理解し合いながら、両国の未来をつくりあげてください。」とのお言葉をいただき、団員は、この先の韓国滞在に、より一層、期待で胸をふくらませているようでした。
   
 
 日程2日目は韓食財団を訪問。同財団のキム・ドンヒ事務総長から韓国の食文化について「韓国の食文化~読んでおいしい韓食~」の講義を受けました。講義では、韓国料理の特徴やそこに込められた文化や知恵、食べ物や調理法から見えてくる韓国の精神や地域性、慣習などを教えていただきました。日本と同じ箸を使う韓国ですが、スプーンと一緒に縦に置いたり、器は持たずに正しい姿勢で食べる韓国の作法に文化の違いからも文化の違いを感じる団員もいました。午後からは在韓国日本国大使館公報文化院を訪問しました。同大使館公使でもある佐藤勝院長からご挨拶をいただいた後、同院の高橋健吉調査員から大使館の業務についてブリーフィングを受け、3日後に迫った日韓交流おまつりin Seoul 2014に参加するためのオリエンテーションを行いました。その中で、よさこいアリランの練習もしましたが、初めて聞くリズムやステップにも動じずステージ上で軽やかに踊っている団員たちに驚かされました。

      
その後は、韓国伝統飲食研究所に移動して実際に韓国料理を作る体験です。キムチとビビンバの作り方をレクチャーされた団員は、早速チームに分かれて実践開始。慣れない手つきで白菜の間に真っ赤なとうがらしをぬり込んだり、ビビンバの材料を見栄え良く形を整えながら切ったり、焼いたりしながらようやく完成。出来あがったビビンバはその日の夕食に美味しくいただき、キムチは容器に入れてホームステイ家族へのお土産となりました。調理中から団員たちは「日本に帰ったら家族に韓国料理を作ってあげられる!」と喜んでいました。先に見学した同研究所に併設されている韓国餅博物館では、韓国での一生の祭事をお餅を通して学ぶことができ、今回の研修テーマ「食文化」の意義深さを改めて感じました。
    

日程3日目は韓国の非武装地帯にある板門店を見学しました。共同警備区域であるJSAに向かう途中、「走ったり、手をあげて指を指したり、大きな声をださないように」と注意を受けた団員は、緊張な面持ちで軍事停戦委員会の開かれた会議室に入り、軍事境界線を実際に見て韓国が休戦中であることを再確認、とても良い勉強になったようです。また、バスの中では、北朝鮮出身の方から直接お話しを伺うこともでき、もう1つ貴重な体験をすることができました。板門店から臨津閣国民観光地を見学した後、ソウルに戻るとホームステイをさせていただくホストファミリーの皆さんが待っていてくださいました。
 

日程4日目。ホームステイから戻った後は、昌徳宮を観覧し、明洞でNANTA公演を鑑賞。夕食時にはホームステイの感想会も行いました。ホームステイを終えた団員からは、「一緒に市場に買い物に行き、料理を作ったが自然を大切にしていると感じた。」、「チマチョゴリや軍服を着せてもらったり、夜の漢江を散歩したり現地の生活を体験できた」、「韓国語が話せて良かった」という感想のほか、「言葉の壁の感じた」「もっと韓国語を勉強したいと思った」という意見も聞かれましたが、「家族の愛情を感じた」「韓国のおもてなしを感じた」など、人とのふれあいの大切さも感じた時間になったようです。夕食後、Nソウルタワーを観覧に行きましたが、この日はとても夜景がきれいに見える夜だったためかタワーの下は大勢の人であふれていました。何年に一度しか見られない素晴らしいソウルの夜景をNソウルタワーの下から眺めてホテルに戻りました。
 

日程5日目は研修前からグループに分かれて用意周到に準備をしてきた日韓おまつりin Seoul 2014に参加する日です。4つのグループに分かれた団員は、それぞれ趣向を凝らせて日本文化を紹介しました。Aグループはモニターを利用し和食や相撲の食文化を紹介しながらトントン相撲の体験。Bグループは福笑い体験と絵手紙クイズ。Cグループは万華鏡体験。Dグループは千代紙を使った折り紙と紙相撲体験。何もないブースの飾り付けもすべて自分たちの手作りで浴衣や甚平を着ておまつりを盛り上げてくれました。日韓交流おまつりは今回で10回目を迎える盛大なイベントです。今年は在韓国日本大使館の別所浩郎大使や韓国外交部のユン・ビョンセ長官もご出席になり、来場者も5万人に達し、団員のブースにも1日中人が絶えませんでした。その中には、日本語を流暢にお話しになる韓国の方も多く、団員たちは、日本語を話せる方が多い事や日本に関心を持ってくださる方が大勢いることに感動したと話していました。ブースをサポートしてくださった韓国のボランティア学生さんをはじめ、たくさんの方と交流をすることができたおまつりのフィナーレには、3日前に練習したよさこいアリランの歌が流れ始め、最後には皆が一つの大きな輪になって歌い踊りました。
 

日程6日目は韓国外交部への訪問がありました。韓国外交部東北アジア局東北ア1課のオ・ジニ課長からご挨拶をいただき、同部文化外交局文化交流協力課のアン・ヘジョン課長、同課ソン・スヒョン外務行政官から日韓関係の概要についてブリーフィングを受けました。質疑応答では、団員からの「日韓間の文化的交流は以前から続いており、国民同士の関係は親密であるといえるが、政府間の関係を良くしていくには何が必要だと思われるか」、「韓国は日本とアメリカの重要性はどちらだと考えているか」、「日本と政治的な面で良くなる日は近いと思われるか」などの政治面や「低年齢層からの国際交流が進むと良いと考えるが現状はどうであるか」、「韓国内に日本人との交流の場があるか」、「日本は戦前、韓国は戦後の歴史を知るべきだと言われたが、その違いはどこから生まれるものだと思われるか」など教育や国際交流についても質問がされましたが、その一つ一つに真摯に対応してくださいました。その後、外交資料館やブリーフィング室を見学しました。午後からは水原に移動し韓国伝統の餅作りと韓紙での人形作りを体験し、韓国民俗村を見学しました。
 

日程7日目は青瓦台サランチェを観覧し、2度目の韓国料理作り体験です。こちらでは、講義形式でプルコギと海鮮チヂミの作り方を習い、試食をさせていただきました。その後、韓国外国語大学に移動し、学食を体験してから同大学日本語大学学生の皆さんがいらっしゃる教室へ向かいました。同大学日本語大学融合日本地域学部長・日本研究所長のイ・ソンフン教授からご挨拶をいただき、その後、4つのグループに分かれ、キャンパスツアーをしながら思い思いに交流を深めていきました。ここでは、韓国の国民放送からの取材も受け、ある団員は「韓国の大学を訪問することができ、日本語を学ぶ韓国の学生と普段の大学生の生活を学ぶことができて光栄でした。これから両国を担う若者が協力し合うことがとても大切だと感じました」と話していました。
 

日程8日目は韓国の古都である慶州へソウル駅からKTXに乗り移動しました。文化遺産の大陵苑と雁鴨池を見学したのち、蔚山へ移動、梁山市にある通度寺で韓国のテンプルステイ体験を行いました。到着すると修練服が支給がされ、それに着替えた団員は小雨の降る中、2列になり静かに僧侶の後について通度寺を巡りました。併設されている聖宝博物館の入り口すぐには大きな仏幀があり圧倒されました。こちらの博物館には、仏像や仏幀のほか、陶磁器も多く展示されており、焼き物が好きだという団員は魅了されたように見入っていました。夕食をいただいた後は夕方の仏事を観覧しました。大きな鐘のある梵鐘楼の前に整列し待っていると2階に上がった3名の僧侶が太鼓を打ち始め、最後には大きな鐘が響き渡りました。目の前のことで驚いていた団員も見受けられましたが、都会の喧騒から離れ身が引き締まる思いがしました。そのまま本堂へ移動し礼仏を行い、翌日に備えて午後9時半には就寝しました。
 

日程9日目の朝も引き続きテンプルステイ体験でした。午前5時に起床し、朝の礼仏と瞑想を行いました。テンプルステイの最後には、また僧侶の後について通度寺の山を1時間ほど登り、そこで色染め体験をしました。お天気に恵まれたこの日、団員たちは清々し朝を迎えることができたようです。テンプルステイを終えた後は、最終訪問地の釜山に移動しました。チャガルチ市場ではソウルや慶州とはまた違う韓国の雰囲気を味わい、2005年APECが開かれた会議場ヌリマルでは、韓国建築の素晴らしさを体感しました。

日程10日目は早朝から帰国するため、この日の夕方、評価会が開かれました。評価会では、グループごとに今回の研修を通して学習した韓国の食文化についての発表が行われました。テーマは「パッピンス」、「ビビンバ」、「キムチ」、「お粥」。どのグループもパワーポイントを使用し、研修中に学んだことや感じたことを熱く語っていました。評価会で団員たちは、「韓食財団の講義で言われたように、まさに韓国の食文化は薬食同源であった」、「その土地のものを食べるとその土地の文化が分かる」、「研修と共にキムチがあり、キムチが友達になった」、「今回の研修で感じたことを伝えることで日韓の架け橋になれるかなと思った」、「これから一人一人、日韓のために尽力できるよう頑張ります」と感想を述べていたのが印象的でした。

研修を終え、団員たちはより一層韓国への関心が高まった様です。今後、団員達はSNSや学校での発表を通して、今回の研修で学んだことや感じたことを周囲の人々に発信していきます。