【JENESYS2.0】韓国大学生訪日研修団第1・2団(2014.9.30~10.9)

「JENESYS2.0」の一環として韓国国立国際教育院で選抜、派遣された韓国大学生訪日研修団計59名が、去る9月30 日から10 月9日までの9泊10日の日程で研修を行いました(第1団団長:李東鎬(イ・ドンホ)国立国際敎育院企画管理部長、第2団団長 尹南喜(ユン・ナムヒ)国立国際教育院教育研究士)。[@pause]
「日本を感じる」という研修テーマの下、滞在中、東京都内、地方(第1団:北海道、第2:鹿児島県)及び大阪府・京都府で学校訪問や企業訪問を行ったほか、ホームステイや文化体験など実際の体験を通して日本への理解を深めました。

※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
9/30(火)
到着(羽田空港・成田国際空港)
10/1(水)
研修に関するオリエンテーション、講義、歓迎昼食会、文化体験(江戸文字体験)、浅草見学
10/2(木)
学校訪問(第1団:明治大学、第2団:明治学院大学)
10/3(金)
地方へ移動(第1団:北海道、第2団:鹿児島県)
第1団:北海道庁表敬ならびに北海道の魅力に関する講義、道庁旧本庁舎見学
第2団:霧島市表敬ならびに霧島市の魅力に関する講義、霧島神宮見学
10/4(土)
第1団:登別温泉地獄谷見学、アイヌ民族博物館見学
第2団:仙巌園・尚古集成館見学、桜島ビジターセンター・溶岩なぎさ公園見学
ホームステイ対面式
10/5(日)
終日ホームステイ
10/6(月)
ホームステイ先から再集合
第1団:企業訪問(株式会社サッポロドラッグストアー)、大阪へ移動
第2団:霧島太鼓体験、まほろばの里見学、大阪へ移動
10/7(火)
学校訪問(第1団:近畿大学、第2団:関西外国語大学)
10/8(水)
文化体験(着物着付・日本舞踊鑑賞、茶道体験)、平等院鳳凰堂見学、感想報告会
10/9(木)
帰国(関西国際空港)

 

一行はまず、日本大学の服部慶亘講師の特別講義「日本的人間について」を聞きました。講義では日本人の特性を理解するうえで必要な基礎知識や留学生が見た日本人について、また日本人が他人との衝突をさけるなどの特性を持つようになった歴史的・文化的背景についてお話いただきました。

 その後の江戸文字体験では、団員各々が自分の名前や「福」「笑」など好きな漢字を選び提灯に文字を入れました。団員たちは上手に書こうと集中して作業を行い、文字の太さや大きさに個性が出た作品を完成させていました。

日程中、多くの団員が楽しみにしているのが同世代との交流です。
 第1団が訪問した明治大学では、午前に駿河台キャンパスを、午後に中野キャンパスを訪問し、同校学生とキャンパスツアーや、グループディスカッションを行いました。日程中には国際日本学部の森川准教授の案内のもと、「秋葉原の昔と今」といったテーマで電気街やアニメ関連の店を見学し、団員達は日頃から見聞きしていた日本のアニメ、秋葉原の町を興味深そうに眺めていました。

 第2団は明治学院大学を訪問しました。キャンパスツアーでは、韓国の大学は周辺がアパートばかりだが日本の大学は自然に囲まれているなど、団員たちは大学のキャンパスの違いを発見していました。午後は団員と同校学生が最初に「日中韓の違い」について映像を見て、国際学部の秋月教授から「物事を考えるとき自分のスタンダードが正しいと考える傾向にあるが、違いを違いとして理解することが大事である」といった講義を受けました。その後はグループ毎に「日韓の食事の違い」やそれぞれの関心分野についてディスカッションをしました。

日程5日目から8日目にかけて第1団は北海道札幌市に、第2団は鹿児島県霧島市に移動し、表敬訪問やホームステイのほか、企業訪問や文化体験を行いました。
 第2団の表敬訪問では霧島市の前田市長が一行を厚く歓迎して下さいました。市長のご挨拶では韓国の友人とのエピソードを交えながらユーモアたっぷりに話して頂き、面会予定時間を過ぎても次の公務の時間ぎりぎりまで団員と楽しく話をしてくださいました。市長のお話には地元への誇りが満ち溢れており、団員も感動していました。

緊張した面持ちでホスト家庭に向かって行った団員も、2泊3日間のホームステイを経ると本当の家族のようになっており、別れの際はホスト、団員共に別れを惜しんで姿が見えなくなるまで手を振っていました。
   
 ホームステイ明けには第1団が北海道で設立、事業展開を行っている株式会社サッポロドラッグストアーを訪問、第2団が文化体験で霧島九面太鼓を体験し、日本の企業、日本の文化について理解を深めました。
サッポロドラッグストアーでは、最初に本社社員一同が集まる全体朝礼に参加し、全社員による社訓の読み上げや挨拶の練習を見せていただきましたが、団員にとっては大変新鮮で、印象に残った様でした。会社概要説明では、韓国のCJオリーブヤングと業務提携を行っていること、韓国の栄養ドリンク「コンディション」を取り扱っていることが述べられると、団員も一層関心を持って聞いていました。
 
霧島九面太鼓体験では、霧島九面太鼓保存会のメンバーが実際に演奏した映像を見たあと、実際にバチを持って太鼓を練習し、最後にはグループごとに練習の成果を披露し合いました。手をまっすぐ伸ばしての演奏が難しく団員たちは四苦八苦していましたが、とても楽しそうに、最後のキメのポーズまでにもこだわって何度も練習していました。

両団ともに、大阪に移動後、大学訪問を行いました。
第1団は近畿大学を訪問し、キャンパスツアー、グループディスカッションを行いました。キャンパスツアーでは英語村、不倒館などを見学しました。英語村では団員が同校学生、教授と楽しそうに英語で会話をする様子が見られました。ディスカッションは食文化、恋愛、国民性など複数のテーマから各グループが自由に選択をして行いました。交流学生のほとんどが韓国語を勉強する学生だったので、日本語ができない団員も積極的に発言をし、終始賑やかな交流会となりました。
   
第2団は関西外国語大学に訪問しました。外国語大学ということもあり、さまざまな国の学生が学ぶ国際色溢れるキャンパスの大学で、団員は目を輝かせながらキャンパスツアーをしていました。また2つのテーマで行われたグループディスカッションでは「結婚相手に求める条件」は両国ともに大きく違いはないということがわかり、「現在、流行しているもの」ではそれぞれ食べ物・芸能・流行語などさまざまなジャンルが話題に上がり、発表の際にはとても盛り上がりました。

9日目は両団ともに京都に移動し、平等院鳳凰堂見学、文化体験を行いました。
平等院鳳凰堂ではボランティアガイドの方のお話を聞きながら鳳凰堂を正面から見学しました。鳳凰堂には平安時代に作られたものが一部そのまま現存しているという話に団員も驚いた様子でした。また文化体験では着物の着付け・茶道・日本舞踊鑑賞をしました。着物を着た団員は、動きづらさに驚きながら、着物にあった所作を教えてもらっていました。団員からは「茶道体験や日舞鑑賞を通して、わびさびといった日本の美意識を感じられた。新鮮な体験だった」といった感想を述べていました。  

今回の研修を通して、団員たちからは以下のような感想が聞かれました。今後は各団員がそれぞれの場所から今回の研修成果を発信していく予定です。
・ホームステイ、大学訪問等日本人との交流を通して、韓国で持った日本に対しての良くない印象が改善された。また日本に来たいと思った。
・ホームステイのホストや、道ですれ違う人々から、国同士ではなく、人と人との関係で日韓関係を良くしていこうと思っている人が多いことを知った。
・日本が大好きな自分にとって、ドラマや映画でしか知ることのできなかった日本の普通の家庭生活を実際に体験できたことは、とても有意義で貴重な時間だった。
・韓国人に比べると冷たく情が薄いと思っていたが、意外にも親切でとても温かい国民性だったことが印象的だった。