【JENESYS2.0】韓国大学生訪日研修団第3・4団(2014.10.21~10.30)

「JENESYS2.0」の一環として韓国国立国際教育院で選抜、派遣された韓国大学生訪日研修団第3団及び第4団計58名が、去る10月21日から10 月30日までの9泊10日の日程で研修を行いました(第3団団長:徐東喆(ソ・ドンチョル)グローバルサイバー大学校主務官、第4団団長:金仁姫(キム・インヒ)国立国際教育院教育研究士)。[@pause]
「日本を感じる」という研修テーマの下、滞在中、東京都内、地方(第3団:愛知県、第4団:滋賀県)及び大阪府・京都府で学校訪問や企業訪問を行ったほか、ホームステイや文化体験など実際の体験を通して日本への理解を深めました。

※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
10/21(火)
到着(成田国際空港)
10/22(水)
研修に関するオリエンテーション、講義、歓迎昼食会、文化体験(江戸文字体験)、浅草見学
10/23(木)
学校訪問(第3団:上智大学、第4団:青山学院大学)
10/24(金)
地方へ移動(第1団:愛知県、第2団:滋賀県)
第3団:稲沢市役所表敬ならびに稲沢市の魅力に関する講義、ノリタケの森見学
第4団:大津市の魅力に関する講義、琵琶湖クルーズ体験
10/25(土)
第3団:熱田神宮見学、トヨタ産業技術記念館見学、名古屋城見学
第4団:比叡山延暦寺東塔見学
ホームステイ対面式
10/26(日)
第3団:文化体験(着物着付け・生け花・茶道)とホストファミリーとの歓迎交流会
第4団:終日ホームステイ
10/27(月)
ホームステイ先から再集合
第3団:京都へ移動、平等院鳳凰堂見学、嵯峨野トロッコ列車体験、嵐山見学、日本旅館体験
第4団:企業訪問(オプテックス株式会社)、京都へ移動、文化体験(着付・茶道体験・日舞鑑賞&解説)、日本旅館体験
10/28(火)
学校訪問(第3団:立命館大学、第4団:京都産業大学)
10/29(水)
大阪へ移動
第3団:大阪企業家ミュージアム見学、文化体験(お好み焼き作り・和太鼓)、道頓堀見学、感想報告会
第4団:文化体験(和太鼓・お好み焼き作り)、大阪城見学、道頓堀見学、感想報告会
10/30(木)
帰国(関西国際空港)

 

韓国大学生訪韓研修団第3団と第4団には、韓国全国から応募があり、来日時もソウル出発組と釜山出発組とに分かれ、夕食時にそれぞれ合流して各団毎に結団式を行い、各団員研修への意気込みや目標などを語り合いました。
本格的な研修日程は、2日目からです。今回研修テーマは「日本を感じる」。まずは、日本人について是非知っていただこうと、日本大学で「ベスト講師」「ベスト授業」にも選ばれるほど大人気の服部慶亘先生をお招きし、「日本的人間(Homo-Japanesque)について」というタイトルで特別講義を用意しました。
「日本的人間とはどういう人か」をテーマに、まずは、人間は「Shale(シャーレ)=Culture dish」、つまり所属する文化的背景や文化的慣習によって形成されるという社会学的アプローチから接近し、その上で外国人からよく指摘される「日本人は何を考えているのかよくわからない」理由は、この日本独特の「シャーレ」が韓国の皆さんとは異なるから、日本人の常識・非常識が皆さんと異なるからと学問的に分析していき、何故日本人はそうなのか、どういう環境からそのような日本人が生まれたのかを、日韓比較を交え、時にはコミカルに笑いも誘いながらお話しいただきました。そして、最後にはアンパンマンやドラゴンボール、妖怪ウォッチなどのアニメを例に、日本人は1+1=2以上の、みんなの力を合わせればそれ以上の無限なる可能性を期待することから、私たちも合わさることにより、より大きなパワーを生み出そうとメッセージを送り講演を終えました。質疑応答時は、積極的な質問が相次ぎ、講演終了後には講師と一緒に写真を撮ろうとする学生が列をなすなど、大変好評を博したようです。

 歓迎昼食会の後は、日本文化体験として、提灯に筆で江戸文字を書き入れる体験を行いました。
江戸文字とは、江戸時代に盛んに使用された図案文字の総称で、今でも相撲や歌舞伎などの伝統文化に使われています。伝統があり、演技もいい江戸文字についてのレクチャーを受けた後、それぞれ提灯に、「夢」や「美」など気に入った漢字を書き入れ、デコレーションも施しました。皆、真剣な表情で取り組んでいました。また、ひとりひとりに、講師より、手作りの漢字の名前入り木札ストラップのプレゼントがあり、早速、携帯電話に取り付けていました。日本訪問の良い記念になったようです。
 その後は生憎の雨の中でしたが、浅草を見学しました。浅草寺では、初めての日本のおみくじの結果に、一喜一憂する団員たちの姿が多く見られました。

 
 本研修では、韓国の大学生に、同世代の日本の学生と交流して友情を深めていただくために、東京で1回、京都で1回、計2回の大学訪問があります。当然、韓国の大学生にとっても、日本の友人ができるチャンスとあって、多くの団員が楽しみにしています。3日目の日程が、このうちの、東京での大学訪問です。第3団は上智大学へ、第4団は青山学院大学へ訪問しました。

 上智大学では、早下学長直々ご出席され、「個人的にだいじな韓国人の友人がいる。国同士は厳しくても国民同士は素晴らしい交流が出来ている」と語りながら、今回の訪問をきっかけに互いに積極的な交流を深めることができるようになればと韓国の大学生の訪問を歓迎してくださいました。続いて、学生による大学紹介と、キャンパスツアー、昼食後はアイスブレーキングとゲームを行い、最後に「オリンピック」をテーマにしたディスカッションに至るまで、盛りだくさんの内容で交流しました。その分、ディスカッションの時間が短めだったものの、どのグループも笑い声が絶えず、大いに議論が活性化したようです。お別れのときには、メールアドレスを交換したり、交流で知り合った日韓の学生同士が早くも約束を取り付けて、学校訪問後の自由研修を共に楽しむ光景も見られるなど、実りある訪問となりました。
 

 青山学院大学では、校門でのお出迎えから、交流会の司会や運営など、すべて青山学院大生が行ってくれました。すぐに日韓混合のグループに分かれ、グループ対抗で日韓クイズ大会が行われました。正解が発表されるたびに、歓声を上げて一緒に喜びあったり、残念がったり、気が付くと初対面の学生たちはすっかり打ち解けあっていました。
 キャンパス自由見学では、「キャンパスライフツアー」として、いつも立ち寄るキャンパス近くのお店なども案内してもらったグループもあり、日本のキャンパスライフを味わうことができたと皆喜んでいました。
 ディスカッションテーマは、「家族とのコミュニケーションをとる方法」、「理想のタイプやデートの場所」、「学生に人気のある職業」から2つ選んで話し合いました。すべてとても身近なテーマでしたが、やはり「理想のタイプやデートの場所」を取り上げたグループが多く盛り上がっていました。最後に、グループ毎に発表しましたが、日韓の違いや逆にそんなに変わらないことを感じるきっかけとなったようです。訪問終了後もなかなか別れがたい様子でしたが、一緒に自由研修を楽しむグループもあり、今後も連絡を取り合う友達ができたようです。
 

 研修4日目からは、いよいよ日本の地方の魅力を味わっていただくために、第3団は愛知県へ、第4団は滋賀県へ移動し、ホームステイとホームステイを受け入れてくださった自治体への表敬訪問、企業訪問や様々な文化体験を行いました。

 まずは、愛知県を訪問した第3団の様子からお伝えいたしましょう。第3団の団員がホームステイでお世話になるのは愛知県の稲沢市ということで、まずは稲沢市役所を表敬訪問しました。稲沢市を代表して恒川稲沢市教育長が歓迎の挨拶をされ、稲沢市滞在中のホームステイや文化体験を通じて日本の文化に触れて日本への理解を深め、日韓両国友好の懸け橋になってほしいとのメッセージをいただきました。何よりも、韓国の大学生たちに大好評だったのが、稲沢市のゆるキャラである「いなッピー」!出迎えから歓迎式、見送りまで始終場を共にし、団員を多いに和ませ、歓迎式終了後には団員が相次いで記念撮影を一緒に撮るほどの人気振りでした。また、この表敬訪問の様子は翌日10月25日(土)付の中日新聞に掲載され、団員にとっても自分たちのことが掲載された日本の新聞ということで、良い記念になったようです。

 愛知県内では、その他に、ノリタケの森・トヨタ産業技術記念館・熱田神宮・名古屋城等を見学し、研修5日目からは、本研修のハイライトの1つでもある2泊3日のホームステイが始まります。ホームステイの中日となる研修6日目には、全団員と全ホストファミリー一同が集まり、文化体験(着物着付け・生け花・茶道)と歓迎交流会も行われ、大いに盛り上がりました。
 

 4団は滋賀県大津市を訪問し、視察やホームステイを行いました。まず、中野博之大津市政策調整部長を表敬しました。中野博之大津市政策調整部長を初め、市の関係者の方々の歓迎を受け、韓国の学生たちも全員頑張って、日本語で一言ずつ自己紹介しました。その後、大津市の観光交流の取組みについて、ご説明いただき、大津市の魅力を韓国に戻って伝えてほしいとのメッセージに皆大きくうなずいていました。また、最後に、大津市のいわゆる「ゆるキャラ」である「おおつひかるくん」が登場してくれたため、一緒に記念写真を撮るなど盛り上がりました。
 その他に、琵琶湖クルーズ、世界遺産比叡山延暦寺の見学を行い、大津市の魅力を存分に味わいました。いよいよ、楽しみでもあり、緊張でもあるホームステイが始まりです。対面式では、団員が入場すると、ホストファミリーの方々が拍手で出迎え下さり、お世話になるホスト家族の皆さんと並んで一緒に話しながらご飯を食べました。最初は緊張していた団員も笑顔で、各ご家庭へ向かっていきました。ホームステイでは家族の一員として料理を一緒に作ったり、出かけたり、大変楽しく過ごしたとのことです。日本の家族との別れの際は、抱き合い、別れを惜しみあう姿が見られました。
 今回の訪問を機に、今後も韓国の学生と日本のご家族との縁が続いていくことを願っています。
  
 
日本で新たな家族ができたホームステイを終えると、研修もいよいよ後半へと突入です。研修7日目は両団共に京都に入り再結集します。この日、第3団は朝から京都へ向けて移動し、平等院鳳凰堂、嵯峨野トロッコ列車、嵐山と初秋を迎えた京都の魅力を堪能。一方、第4団は、大津市での最後の日程として、オプテックス株式会社を訪問しました。セキュリティ分野などに使われるセンサー関連分野で、世界にも有名で、韓国にも子会社をもつ同社では、製品のご説明のほか、琵琶湖の近くという環境を生かした社会的貢献活動についてわかりやすく説明いただきました。団員からは採用で重視する点や外国人も採用するのか、といった質問も飛び出しました(採用に国籍は関係ないというお答えでした)同社のセンサー技術、実際に何人通ったか感知して即時にカウントするシステムなども体験させてもらいました。今回の訪問を通して、日本企業の技術力や経営方針などについて理解を深めることができました。
その後、京都に移動し、着物を着て、茶道を体験しました。また、日本舞踊に関するレクチャーを受け、日本の伝統文化の「型」を味わいました。初めての着物は少し苦しく、また茶道や日本舞踊にも緊張しましたが、積極的に質問しながら楽しんでいました。
               
 研修8日目は、本研修2回目の大学訪問です。第3団は立命館大学へ、第4団は京都産業大学へそれぞれ訪問しました。

 立命館大学の学生との交流のスタートは、何と「金閣寺」。3つのグループに分かれて、それぞれに立命館の学生が1名ずつついて金閣寺の見学を行い、その後大学へと移動して同じグループでキャンパスツアーを行いました。昼食をはさんで、午後からは2つのグループに分かれ、「相手の国の好きなところ、感心するところ」をテーマにディスカッションを行いました。たっぷりと討論の時間が確保できた分、充実した意見が交わされ、様々な面白い意見が出ましたが、中でも韓国人学生から日本について、『トイレットペーパーの芯にまで「ありがとうございます」とプリントされている徹底した顧客への感謝の意識とこだわりはすごい』との意見が最も笑いを誘いました。この日も、その後の自由研修に、数名の立命館の学生が韓国からの大学生と同行し京都市内を案内してくれるなど、新たな友情が生まれた様子です。
 

 京都産業大学では、今年度より韓国語専攻が設置されたとのこと、専攻の学生さんを中心に多くの学生さんが参加してくれました。グループディスカッションは、杉山豊助教から「韓国と日本の思考・行動パターン」と題して、最初にアンケート用紙が配られ、韓国の学生は日本について、日本の学生は韓国についてのイメージを思い浮かべて回答し、その結果をグループ毎に話し合い、発表しました。例えば、「他人に気を遣う」、「個人行動を好む」、「金銭感覚が細かい」など、実際のところはどうなのか?グループ内でどちらの方がより当てはまると思うか、手を挙げて確認しあいました。どこのグループもイメージと実際のギャップがあり、話題が弾んだようです。また、学内にある天文台も全員で見学させてもらいました。終了後も、京都産業大生有志が京都の街案内を買ってでてくれ、交流が続きました。
 

研修9日目に入ると、両団共に大阪へ移動し、第3団は大阪企業家ミュージアの見学、第4団は大阪城を見学し、りょうだん共通して、お好み焼き作りと和太鼓の文化体験を行い、道頓堀を散策して一日を終えました。中でも和太鼓体験では、手に水膨れやマメができても絆創膏でカヴァーしてみんな最後までやり抜き、自分たちの和太鼓のリズムに合わせて指導役の先生方が笛や三味線で演奏しながら合奏できたのが何にも代えがたい達成感を感じたようで、大変好評でした。
 

 最後の晩餐となる9日目の夕食の時間は、研修の締めくくりとして感想報告会も兼ねており、以下のような感想が寄せられました。そして、10日目となる最終日は関西国際空港からソウル、釜山へと帰国していき、無事10日間の研修日程を終えることができました。この場をお借りして研修にご協力くださった関係者の皆様方の心よりお礼を申し上げます。
 今後、団員等を通じて、実際に見て触れて体験した日本と日本人、そして日本文化を存分に韓国内の同世代の人々へ向けて等身大で発信していただく予定です。今後の団員等の活躍に期待したいところです。

・ホームステイを通じて、知らなかった日本の文化を知ることができ、また日本の文化を通じて改めて自国の文化に気付かされるようなこともあり、「日本を知って韓国を知る」有意義な研修となった。
・ホストファミリーと微妙な日韓問題や互いの国での社会問題について楽しく討論することができ、それぞれの言い分があると云うことに気付いた。
・ホームステイ先で、お母さんだけでなく、お父さんや子供たちみんなで食事の準備したり、皿洗いをしたりするのを見て、感銘を受けた。韓国ではもうあまり見られないし、特にお父さんが自ら食器を下げたり皿洗いする姿に驚いた。
・日本人は個人主義で、他人に関心を持たないと聞いていたが、とんでもないことで、事実は全く異なると感じた。お節介な人も多いし、情を感じた。
・日本人といろいろ接しながら、服部先生の授業を思い出し、改めて参考になる講義だと思った。日本人の親切さの背景には、夫婦や親子、兄弟同士でも「建前」があるからではないかと感じた。
・研修を通じてみた物や体験したこと、学んだことを通じて、日本の決して派手ではない素朴な良さが多少はわかるようになった気がする。
・ホームステイ先の同年代の子が、自分のボーイフレンドを堂々と自宅に連れて来て、両親が場を共にするパーティーに参加して、和気あいあいと楽しむ様子に驚いた。韓国に比べれるととても自由だ。
・個人旅行では決して体験できない、お金を払っても体験できないようなことをたくさん体験でき、準備してくださった関係者の皆さんに感謝したい。
・はっきり言って、マスコミの報道や周囲の人の話などの影響もあり日本への感情はあまりいいものではなかったこともあり、このような機会がないと自分からは日本に行かないだろうと思って参加したが、実際来てみて、想像以上に素晴らしい国で、視野が広くなった。本当に意味深い研修となった。
・ホームステイ家族が大変活発な方々で良い経験になった。日韓間ではいろいろな問題があるが、市民レベルではそのような問題は関係なく、良い交流ができることがわかった。実際に来てみないとわからないことあると感じた。
・日本人の他人を気遣う配慮の心がよくわかった。日本人、日本文化に触れる良い経験となった。
・大学訪問での日本人学生との交流が印象的で、別れるのが悲しかった。学生生活について理解することもできた。今後も日本人の友達との交流を続けていきたい。