【JENESYS2.0】日本大学生訪韓研修団第1団(2015.3.3~3.12)

「JENESYS2.0」の一環として、日韓文化交流基金で選抜、派遣した日本大学生訪韓研修団20名が訪韓し、3月3日から3月12日までの9泊10日の日程で研修を行いました(団長:大阪教育大学 国際センター 若生 正和 准教授)。[@pause]
一行は滞在中、大学訪問やホームステイ、地方での文化体験を通して、韓国の文化や社会について学んだ他、在韓国日本国大使館公報文化院を訪問し、日韓関係についても知識を深めました。
主催:公益財団法人 日韓文化交流基金、韓国国立国際教育院
実施:韓国ソウル神学大学校

※「JENESYS2.0」の概要についてはこちらをご覧ください。

<日程>
3月2日(月)
研修前オリエンテーション
3日(火)
金浦空港より入国、韓国国立国際教育院訪問、Nソウルタワー見学
4日(水)
DMZ見学、景福宮、韓国国立民俗博物館見学、明洞見学
5日(木)
北岳山ハイウェイ・青瓦台車窓見学、在大韓民国日本国大使館公報文化院訪問、東遠F&B鎭川工場見学およびキムチづくり体験、韓服試着体験
6日(金)
ソウル神学大学校訪問、ホームステイ対面式
7日(土)
終日ホームステイ
8日(日)
ホームステイ先から集合、韓国民俗村見学および文化体験(伝統笛タンソ作り体験、伝統芸能見学、伝統弓体験)、華城行宮・水原華城見学
9日(月)
サムスン・イノベーションミュージアム見学、延世大学校訪問(特別講義)、慶州へ移動
10日(火)
文化遺産見学(石窟庵、仏国寺)、韓国国立慶州博物館見学、釜山へ移動、南浦洞見学
11日(水)
龍宮寺見学、朝鮮通信使歴史館見学、釜山韓日文化交流協会訪問(特別講義)、修了式
12日(木)
金海空港より出国

 

入国後、一行はまず本研修の韓国側主催団体である韓国国立国際教育院を訪問しました。歓迎式では同院の国際教育支援部長から「研修を通じて歴史や文化など両国の異なる面を身体で感じて、心の距離も縮めるきっかけにしてほしい。」という挨拶がありました。歓迎式後は本研修の実施期間であるソウル神学大学校の学生と簡単な交流会が行われました。まだ会って間もなかったですが、お互い学生同士であるためか、すぐに仲良くなり、とても楽しそうに話をしている姿が印象的でした。

日程2日目はDMZツアーに参加し、都羅展望台と第3トンネルを見学しました。目の前にある北朝鮮との境界を見ながら、2つの国がいまだに休戦中という現実を改めて実感する機会になりました。ソウルの街並みは日本と大きく変わらないが、DMZを見学して韓国に来たことを実感したという声も聞かれました。午後はソウルに戻り、景福宮を見学しました。花冷えでとても寒い中での見学でしたが、朝鮮王朝への理解を深めることができました。

日程3日目は在韓国日本国大使館公報文化院を訪問しました。まず、はじめに公報文化院の概要ならびに行っているイベントなどについて説明を受けました。その後、宮田副院長からご挨拶いただき、質疑応答の時間を持ちました。お話を聞きながら、日韓関係がよくない時期だからこそ、文化交流が大事であるということを学ぶとともに、メディアの情報を全て鵜呑みにするのではなく、実際に自分の目で見ることの大切さを再認識しました。
 
午後は忠清北道の鎭川を訪れ、キムチづくりを体験しました。食品工場での体験とのことで実際に白衣や帽子、手袋を着用した後、エアーシャワーを浴びて工場内に入るなど、衛生管理を徹底している様子も見ることができました。作ったキムチはそれぞれお土産として持って帰り、帰国後に家族と一緒に食べたようです。
忠清北道から再びソウルに戻った一行は、伝統衣装である韓服の体験を行いました。渡韓前から韓服体験を楽しみにしていた団員がたくさんいたようで、着せてもらうとそれぞれ写真撮影に夢中になっていました。
 
日程4日目はソウル神学大学校に訪問しました。まず歓迎式が行われ、その後、講義を通して韓国文化について学びました。昼食は学生食堂を体験し、そのままグループごとにキャンパスツアーに出かけ、図書館やチャペルなどを見せてもらいました。韓国の大学は敷地がとても広く、日本の学生は驚いている様子でした。
また、この日はホームステイの対面式も行われました。今回のホストファミリーはソウル神学大学の日本語学科の学生であったため日本語と韓国語をメインに、ときには英語も使いながら2泊3日を過ごしました。韓国語を勉強している団員にとっては普段あまり使う機会がなかった韓国語をたくさん使える機会となったようです。

6日目は韓国民俗村を訪問し、綱渡りなどの伝統芸能鑑賞や短簫(タンソ)という伝統笛を作る体験を行いました。短簫は日本の尺八のような楽器であり、作ったあとは実際に吹いてみました。思いのほか、音を出すのが難しく団員たちは苦戦している様子でした。また、午後には伝統弓の体験をしました。日本の弓道やアーチェリーとの違いなどもデモンストレーションを交えながら、とてもわかりやすく教えていただきました。

7日目は延世大学を訪問し、非武装地帯の地雷についての特別講義を聞きました。地雷の種類・埋設数などについて概略をお話いただいたあと、地雷除去活動、民間人の地雷による被害と被害者の生活状況・支援活動などについてご説明いただきました。講義後はキャンパスツアーを行い延世大学の広大な敷地を歩いて見学しました。
この日はソウル日程最終日でもあり、大学訪問終了後、一行はKTXに乗り、慶州に移動しました。

翌日は慶州で世界遺産見学をしました。慶州には文化遺産に指定されている場所がたくさんありますが、その中から石窟庵と仏国寺を訪れ、新羅時代の歴史について説明を聞きました。仏国寺の石塔は韓国の10ウォン玉にも描かれており、目の前にある実物と見比べながら見学をしていました。
午後は韓国国立慶州博物館を訪問し、土器や美術品を見ながら、韓国の古代からの歴史を学びました。学生がメモを取りながら一生懸命学ぼうとする姿はとても印象的でした。その後、一行は釜山に移動し、南浦洞での自由見学を行いました。

9日目は午前中に龍宮寺を見学後、午後から朝鮮通信史歴史館を訪れました。歴史館では学校でなかなか詳しく学ぶ機会がなかった朝鮮通信使について、映像や展示を見ながらわかりやすく理解することができました。日韓の歴史は近現代史がクローズアップされがちですが、徳川幕府の時代には約200年間、両国が友好関係にあったことを学ぶことができました。

研修を終え、団員たちからは以下のような感想が述べられました。
・自分の意見をはっきり示し、日本人に比べ積極的だが、他人に対する思いやりを持つ素敵な国民性を持っていると思った。
・日韓国交正常化50周年という節目の年に、改めて東アジア国際社会において重要な地位を占める日韓両国について考える機会を得たことはとても意味深かった。
・日韓関係は近いがために問題があるという意見もあると思うが、自分は抱えている傷跡も含め、日韓の財産だと思う。傷跡が深ければ深いほど、互いをよく知るチャンスが増えるということもあると思う。
・政府の関係が悪化しているからと国民関係まで悪化する必要はない。同じ人間としてどう接していくかが大切だということを伝えたい。

韓国で10日間を過ごし、団員達はより一層韓国への関心が高まった様です。今後、団員達はSNSや学校での発表を通して、今回の研修で学んだことや感じたことを周囲の人々に発信していきます。