職員からの「交流エピソード」(1) 李秀賢さんの墓前で誓う日韓交流への新たな思い

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 李秀賢(イ・スヒョン)さんのことを皆さんご存じでしょうか。
 韓国・釜山出身で、「母国と日本の架け橋」になろうと東京で日本語を学んでいた秀賢さんとカメラマンの関根史郎さんは、2001年1月26日、JR新大久保駅で線路上に転落した男性を救おうと線路に飛び降り、帰らぬ人となりました。
 自らの危険を顧みず、他人の命を救おうとしたお二方のことは当時大きく報道され、韓国では、志半ばで落命した秀賢さんのことが特に大きく取り上げられました。

 2019年8月に実施した大学生訪韓団では、秀賢さんのことを日本の学生にも知ってもらうことを目的に、秀賢さんが眠る釜山市の墓地を訪れました。秀賢さんが亡くなって18年となる現在、ここには2019年3月に亡くなられた秀賢さんの父・李盛大(イ・ソンデ)さんも共に埋葬されています。
 当日は小雨が降る天気でしたが、墓地に到着すると雨は上がり、まるで私たち大学生訪韓団一行の訪問を待ってくださっていたかのようでした。訪韓団の団員達は、用意したお花を秀賢さんと盛大さんそれぞれの墓前に供えました。
 今回、大学生訪韓団一行の訪問にあわせて墓前にいらっしゃった秀賢さんの母である申潤賛(シン・ユンチャン)さんは、訪韓団の学生たちの姿に、秀賢さんの在りし日の姿が重なったようで、時折涙を浮かべながらも、日韓交流の大切さについて語ってくださいました。お母さんが語る姿を目にした学生たちは、最愛の息子を亡くすという絶望を経験しつつも、だからこそ日韓の友好を願っているというお母さんの強い思いを、深く心に刻んだものと思います。

 これからも特に大学生訪韓団で釜山を訪問する際は、秀賢さんの足跡を日本の学生たちに伝える時間を設けたいと思います。

 事故の翌年、日本では李さんの勇気ある行為を長く顕彰すると共に、母国と日本の架け橋になろうと日本語学校に学ぶアジア諸国からの語学留学生を経済面で支援する目的で、「特定非営利活動法人LSHアジア奨学会」が設立されました。これまでたくさんの留学生を支援しています。

特定非営利活動法人LSHアジア奨学会 ウェブサイト

(冒頭の写真)大学生訪韓団団員たちが自ら用意した花をささげ、墓前にお参りする様子