「日韓交流 若者へのメッセージ」第5回 池田洋一さん

日韓文化交流を更に発展させるために

外務省前日韓交流室長 池田洋一


 2018年と2019年の日韓文化交流基金大学生訪韓団の引率を務めた外務省の池田と申します。韓国との関わりは1980年代に韓国語に興味を有したことに始まり、これまで20年以上、韓国関係の業務に携わっています。

 1980年代と比較すると、日韓間を往来する人々の数は増え、相手国の文化に対する関心も高まりました。私が韓国語学習を始めた当時は、教科書の選択肢もほとんど無く、ヒアリングやスピーキングの勉強をしたいと思っても、韓国の映画やドラマを日本で簡単に見れるような状況ではありませんでした。しかし、現在は、教科書、辞書も豊富に出版されており、また留学に行かずとも、様々な媒体を通じて韓国について学ぶことが可能になりました。

 韓国について学ぶために苦労していた時代と異なり、環境が相当程度整備された現在、日韓間の文化交流を更に発展させるために、私たちができることは何なのでしょうか。それは、韓国について知る努力を続けつつ、日本についても更に学ぶことだと考えます。日本文化に関心を有する韓国の方々に紹介するためにも必要ですし、日韓の文化の違いを深く分析し、更なる相互理解や交流発展のために何ができるかを考えるためにも重要だと思います。韓国の文化に興味を有している皆さんは、また新たな視点から日本文化を見ることが可能になっているでしょう。分野は何でも良いと思います。私の参加した訪韓団の中には,韓国のホストファミリーと韓国の将棋について意見を交わした将棋の有段者もいましたが、料理、音楽、舞踊、絵画等、なんでも良いでしょう。

 日韓文化交流基金の韓国人訪日団を対象としたプログラムの中にも、一流の日本文化を紹介するものが多くあります。それらのプログラムに参加し、韓国人学生と交流しつつ日本の一流の文化についても勉強できれば一挙両得です。

 新型コロナウィルスの関係で,世界的に様々な活動が影響を受けています。日韓間の交流についても例外ではなく、このウェブサイトをご覧の皆さんの中にも、留学や文化交流等の準備をしていたにもかかわらず、残念ながら中止、延期を余儀なくされている方々も多いのではないでしょうか。一日も早くそれらの交流を再開するためにも、日韓双方において、新型コロナウィルスの感染拡大が抑制されることが重要です。まずは、身近なところから、コロナをはじめとする感染症に対して、十分に気をつけていただきたいと思います。そして再開の日のために日々の準備を続けて下さい。

 これからも皆さんが何らかの形で日韓間の文化交流に引き続き関わって行かれることを願ってやみません。