「日韓交流オンライン訪日団」第2週目 「来年で発生後10年を迎える東日本大震災からの復興について学ぶ」

 2週目となった9月5日(土)の「日韓交流オンライン訪日団」。今回のテーマは「来年で発生後10年を迎える東日本大震災からの復興について学ぶ」です。
 冒頭、司会者より、日本と韓国の関係を象徴する当時の出来事として、震災当日すぐに韓国がお見舞いの声明と支援を発表し、3日後の14日には海外からの最初の救助隊と救助犬を派遣してくれたことや、韓国全土から寄せられた多額の義援金が贈られたことが紹介されました。

 続いて、参加者全員で東日本大震災の復興ドキュメンタリー映画「一陽来復 Life Goes On」(2017年製作/81分/日本 監督:尹美亜)を鑑賞しました。
 東日本大震災から6年が経過した岩手・宮城・福島で、様々な悲しみや困難の中にあっても前を向き、寄り添い支えあいながら希望を見出そうとする人々の姿を追ったこの作品の鑑賞を通じて、私たちは今回の「訪日団」の参加者に対し、復興の様子とそこに生きる人々の実相を理解してほしいと考えました。

 視聴後、この映画を制作した尹美亜(ユン・ミア)監督から、映画を制作することになったきっかけや、撮影当時の様子などについて語っていただきました。延べ60日間、3つの地域に通う中で、出会う人が皆明るく、情に厚く、優しく接してくれたこと、筆舌に尽くし難い凄絶な経験をしたにもかかわらず、皆真摯にその経験を語ってくれたこと、また人と人が「つながることで強くなる」ことの大切さを、ユン監督は述べておられました。
 ユン監督のお話の後、映画に出演された宮城県石巻市の遠藤伸一さんに現地からご参加いただきました。遠藤さんは自宅が被災し3人のお子さんを亡くされたことを語ってくださり、地獄とも思えた苦しみの中で今を生きていられるのは、寄り添い支えてくれた人たちがいたからであり、そのことで勇気をもらい希望を感じたと述べておられました。

 質疑応答タイムではたくさんの質問が出ました。「被災地ではない地域の人間が今、できることは何か」との問いにユン監督は「何があったのかを知ることが第一歩であり、辛さや傷を抱える人へ想像力を働かせてみることが重要」と述べ、遠藤さんは「どこにいても人の支えになることは出来ると思う。生きるのは楽ではないが生かされる人間は生きなくてはならない。若いボランティアにケアされた自分は、今は心の傷を負った子供たちをケアする側にある」と述べておられました。また「震災後に生まれた子供たちに伝えるべきことは」との問いに、遠藤さんは「いつ起きるかわからない災害は避けられない。身を守るためにまず逃げる。しかし災害には決して負けないという気持ちを持てば生きぬく人が増える」と述べられました。ユン監督と遠藤さんは、このほかさまざまな質問に一つ一つ丁寧に答えてくださいました。

 参加者からは「知らなかったことが多く、驚いた」、「東北に行ってきたように感じた」、「映画を見ながら、そして遠藤さんの話を聞きながら、実際に自分もその場所にいたかのように胸が痛く、涙をこらえられなかった」等の感想が寄せられました。
 

 次回は現在の被災地をオンラインで「訪問」しつつ、現地の生の声を聴く予定です。

エンディングに流れる福島県川内村の桜