報告【JENESYS】 韓国青年訪日団(第8団) 終了

 釜山・慶尚道および済州道地域から選抜された発信力のある韓国の大学生・高校生等64名が2月20日より9日間日本に滞在し、「日韓共通の課題を探る」をテーマに各地を訪問しました。
 今回は大学生と高校生の混成で来日し、日本滞在中は大学生チーム(第7団)と高校生チーム(第8団)に分かれて過ごしました。
 8団は東京と高知を訪問し、高知における地域に根差したSDGsの取組について学びしました。
 都内滞在中は外務省で「新しい日韓関係」をテーマにお話を伺った後、新大久保エリアのフィールドワークを行いました。フィールドワークでは、2001年にJR新大久保駅でホームから転落した人を救おうとして落命した故李秀賢さんについて書かれた、駅構内の追悼碑も訪れました。

 3日目からは高知へ移動。まず高知県庁を訪問し、高知県の概要についての説明を受けました。また高知県は全羅南道と姉妹都市提携を結んでいますが、そのきっかけとなった同県出身の田内千鶴子さん*に関してもお話を伺いました。その後、高知城も見学。
*田内さんは1930年代の日本統治期に、当時の全羅南道木浦市で現地の男性と結婚し、夫妻で孤児救済のために養護施設「共生園」を運営。その後、朝鮮戦争で夫が行方不明になった後も孤児救済のために尽力し、3000人にのぼる孤児を守り育てました。1968年に木浦で生涯を終えましたが、その際木浦市では市民葬が行われ、たくさんの木浦市民が参列したそうです。その生涯は映画にもなりました。

 高知市内の次は、幡多郡大月町へ。東西に長い高知県ですが、大月町はその最も西に位置しており、高知市内から約3時間のバス移動を経て到着しました。
 幡多地域は6つの自治体が協力して、持続可能な「観光×SDGsプログラム」を企画・実施していて、第17回エコツーリズム大賞においては特別賞を受賞するなど、積極的な取り組みで知られています。今回は大月町で海洋プラスチック問題に関する講義を受け、マイクロプラスチックによる海洋汚染を体感するワークショップに参加しました。

 次の訪問地は四万十市。まずはカツオのたたき作り体験。韓国の高校生たちにとっては、生まれてこの方一度も経験したことがないであろう生魚の調理、しかも藁を燃やした炎であぶるといういきなりの上級編に挑戦しました。炎や煙と格闘しながら完成した「Myカツオのたたき」は、印象に残る格別の味になったようです。また、藁でカツオをあぶった際に出る灰を農作物の肥料として有効活用するという、「伝統とエコの連携」についても学びました。

 カツオのたたき作り体験の後はお待ちかねのホームステイ。ホストとの対面式では四万十市長より歓迎のご挨拶を頂き、そしてホストとの緊張の対面。2泊3日の家庭体験が始まりました。
 各家庭で大変よくしていただき、2泊3日のホームステイは無事終了。緊張の対面からはじまりましたが、おかげさまでみんなリラックスできたようでした。そのうれしさと寂しさのせいか、お別れの時は嗚咽で挨拶ができなくなるほどでした。


 ホスト家庭を後にし、この日は高知県立中村高等学校にお邪魔しました。吹奏楽部の演奏に出迎えられた後は、授業体験で英語の授業に参加したり、日本の書道を体験したり、音楽の授業では琴を弾かせてもらったりするなど、とても心のこもった暖かいおもてなしを受け、団員たちは大感激でした。また校内で取り組んでいる防災対策についても、中村高等学校の皆さんと共に学びました。 


 帰国前日には成果報告会を実施。様々な感想が聞かれました。今回は高知県で最も長い時間を過ごし、風光明媚な高知の景色とおいしい食べ物、そして出会った人々の心の温かさに接して、すっかり高知のファンになってくれたようです。ご尽力くださった高知県の関係の皆様にも、ここより感謝申し上げます。


 団員の皆さんには帰国後、一人でも多くの人に今回の体験を伝えてもらいたいですし、将来、両国の共通課題に取り組む、架け橋のような存在になってくれるなら、なおのことうれしいです。活躍を期待しています。

【追伸】
今月中旬に、釜山・慶尚地域の同窓組織「KJAFB(Korea Japan Alumni Forum in Busan)」が発足しました。先に発足した「KJAF(ソウルを中心とした地域からJENESYSに参加した青年たちの同窓組織)」に続き、二つ目の同窓組織となります。今回参加してくれた高校生たちも将来、このメンバーとして活動に参加してくれることを期待したいですね。

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